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「老後はふたり、この家でゆっくり過ごせると思っていた」
「妻とふたりで、老後に備えて一戸建てを新築したのは65歳のときでした。ローンはあと10年分残っているけれど、年金と妻のパート収入があれば、暮らしていけると思っていました」
そう話す宮本さんは、都内で長年公務員として働き、定年後は夫婦で静かに過ごす生活を夢見ていました。30年連れ添った妻と「家を建て替えよう」と話し合い、老後に最適なコンパクトな平屋住宅を新築したのがわずか2年前のことです。
妻・佳子さん(仮名)は、60代半ばでも近所のパン屋でパート勤務を続けていました。「もともと働くのが好きで、人と接するのが楽しいと言っていました。家にじっとしているより、外で動いているほうが元気だった」と和夫さん。生活費を補うためというより、“社会とのつながり”が目的だったようです。
しかし、新居での生活が始まって間もなく、妻に病気が見つかりました。
「最初は疲れているだけだろうと思っていましたが、気づけば手遅れでした」
わずか数ヵ月後、妻は帰らぬ人となりました。
「精神的なショックも大きかったですが、経済的にも想定外でした」
宮本さんは、自身の厚生年金が月13万円ほど。妻のパート収入があったときはギリギリ成り立っていた生活も、今では住宅ローンだけで月8万円が出ていきます。
「何にどれだけ使えるか、毎日家計簿とにらめっこしています。交際費なんてもうほとんどゼロですね」
年金生活者にとって、住宅ローンが重くのしかかるのはよくある話です。特に、定年後にローンを組んだり残っていたりする場合、配偶者を失ったことで一気に返済が困難になることもあります。
「家を建てるとき、団体信用生命保険(団信)への加入も検討したのですが、年齢や健康面の理由で断念しました」
団信は、ローン契約者が死亡または高度障害状態になったときに、残債が免除される制度です。ただし、加入には年齢制限や健康状態の審査があります。宮本さんの場合は、当時すでに65歳を超えており、加入のハードルが高かったといいます。
「夫婦ふたりいれば何とかなる、と思っていたのが甘かったんでしょうね」
