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「受給額は増えた、でも…」
「正直、70歳まで繰下げたのは失敗だったと思っています」
そう語るのは、都内在住の元商社マン・石田清一さん(仮名・72歳)です。
年金月額は現在、厚生年金と企業年金を合わせて約32万円。数字だけを見ると、年金生活者としては比較的恵まれた部類に入るでしょう。しかし石田さんは、どこか納得のいかない表情でこう続けます。
「確かに受給額は増えました。でも使うタイミングを逃したと感じています。体力が落ちて、旅行に行くのも億劫になってしまったんです」
70歳まで年金受給を繰下げれば、月々の受給額は42%増となります。そのため老後資金の確保策として注目されていますが、石田さんのように「増えたけど満足できない」と感じるケースもあるようです。
年金の繰下げ受給とは、本来65歳から受け取れる年金を最大70歳まで遅らせることで、受給額を増やす制度です。2022年の制度改正により、75歳までの繰下げも可能となり、「長生きリスクへの備え」として注目を集めています。
しかし石田さんは、制度そのものではなく、「ライフプランとのミスマッチ」に後悔しているといいます。
「友人と旅行にも行っていた時期もありましたが、70歳になると急に体が疲れやすくなって。結局、年金が増えた頃には元気に使う機会が減っていたんです」
高齢期は、健康寿命の変化が急激になることもあります。60代後半は元気でも、70歳を過ぎてから急に外出や消費行動が減る――というのは、年金受給を繰下げた人からよく聞かれる“あるある”です。
年金の繰下げが有利になるかどうかは、平均寿命と収支バランスに大きく左右されます。簡単に言えば、「長生きすればするほど得」になる仕組みです。
具体的には以下のような条件が揃う人に向いているとされています。
●健康で長生きする自信がある
●65歳以降も収入源(仕事・貯金など)があり、すぐに年金が必要ない
●生活費にゆとりがあり、老後に備えた運用を重視したい
一方で、以下のような人は注意が必要です。
●病気や家族の介護で支出が増える可能性がある
●旅行・趣味・住宅修繕など「元気なうちに使いたい」目的が明確にある
●早期退職や収入減により、65歳以降の生活に不安がある
「受給を先延ばしにする=人生の前半の楽しみを犠牲にする」という側面もあるため、増額だけに目を向けるのは危険です。
