すべてが「他人事」の兄にげんなり
真紀子さんは、県外に住む兄・宏典さん(仮名・55歳)へLINEすることに。
「いま久しぶりに実家なんだけど、部屋も廊下もすごい荷物で、足の踏み場がないの。片付けてたら、お母さん怒っちゃって。
でもさ、お母さんもトシで、いつまた病気が再発するかわからないでしょ? 頭がしっかりしているうちに整理したくて。
お兄ちゃんからも話してよ」
しかし、数時間後に来た兄からの返事は、かなりそっけないものでした。
そのうちなるようになるだろ」
兄からのLINEを読んだ真紀子さんは、心底ウンザリしました。
「……ああ、やっぱり。このひといつもこうなんだよね」
思い返せば、昔から兄は“なるようになる”が口癖。母親に手術が必要になった時も、どこか他人事で、結局は妹の真紀子さんが病院に通い、母の世話を行いました。
「この酷暑のなか、私だって好きで片付けてるんじゃない。あとで取り返しのつかないことになったら、結局また私が大変になるのに…!」
思わず大きなため息をつきながら、真紀子さんはスマホをテーブルに置きました。
「母が暮らす家は、廃屋寸前の築古物件です。売ったところで二束三文ですし、そもそも売れるとも限らない。母の生活はずっとギリギリですし、相続できる財産なんてあるわけがないんです」
「兄はあの通り無責任だし、ゴミだらけの家の片づけのために、私の少ない預貯金を吐き出すなんてまっぴらです。だから、いまからどうにかしたいのに…」
