(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の暮らしには、想定外の支出や家族からの経済的支援の要請といった“落とし穴”が潜んでいます。とくに、子や孫への援助は「親として当然」と考えがちですが、自身の生活に支障をきたすケースも少なくありません。年金だけに頼る高齢者にとって、家族とのお金の境界線は、時に悩ましい問題となります。

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「老後資金を守る」という選択が、子どもを助ける未来に

紀子さんは悩んだ末、少額の援助だけを行い、あとは奨学金制度や教育ローンの利用を勧めました。

 

「できる範囲でしか、もう助けられない。でも、冷たいって思われないか心配だったんです」

 

こう語る紀子さんですが、友人たちの後押しもあり、「自分の生活を守る」ことも親としての責任だと気づいたと言います。

 

教育費に関しては、奨学金、授業料減免、給付型奨学金制度など、公的支援の選択肢も広がりつつあります。

 

また、大学生協や金融機関が提供する「教育ローン」もあり、子ども自身が一定の責任を持って進学を検討することも重要です。

 

「子どもの将来のため」と思って援助を繰り返すことが、結果として自分の生活を脅かす――。その現実に向き合うことは、決して後ろ向きな選択ではありません。

 

高齢になっても金銭的な自立を保ち、子どもに過度な負担や心配をかけないこと。それが“本当の意味で子どもの助けになる”という考え方も、今後ますます大切になるでしょう。

 

紀子さんは言います。

 

「これからは、娘に“援助できて当然”と思われないように、きちんと話し合っていきたい。お金の話って、家族でも難しいですね。でも、だからこそちゃんと伝えていこうと思います」

 

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