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「親の援助ありき」の教育資金設計
「ごめん、もう一度だけお願いできないかな…?」
その日、70代の高橋紀子さん(仮名)は、娘からの電話に思わず絶句しました。
娘・真理子さん(仮名・40代)は、3人の子どもを私立大学に通わせており、すでに2人分の進学費用で紀子さんに数百万円の援助を受けていました。それでもなお、「3人目の学費もどうにかならないか」と相談してきたのです。
「うちもまだ住宅ローンが残ってるし、ボーナスも下がっていて……。もう余裕がなくて」
真理子さんの言葉に、紀子さんはやりきれない思いを抱えました。
紀子さんは、年金月12万円で暮らしています。夫を数年前に亡くし、持ち家で一人暮らし。節約していれば何とか生活は回りますが、余裕があるわけではありません。
それでも、初孫の進学時に「自分にできることなら」と100万円を援助。2人目の際も頼られ、結局は200万円近くを支援してきました。
そして今回、3人目の学費で再び支援を求められたのです。
紀子さんは、迷いながらも周囲の友人に相談しました。しかし返ってきたのは、複雑な反応でした。
「うちは自分たちの生活で手いっぱい。老後の備えを崩してまで援助なんて、怖くてできない」
「子どものために貯金を取り崩すのは美徳かもしれないけど、それで自分が困ったら意味がないよ」
教育資金に親を頼ることは、一般的に珍しいことではありません。しかしそれは、援助する側の老後生活を圧迫する可能性と背中合わせです。
公益財団法人生命保険文化センターの『生活保障に関する調査(2022年度)』によれば、老後の生活に不安を感じている人は全体の82.2%にのぼっており、特に「非常に不安を感じている」と答えた人も17.5%に達しています。
特に「想定外の出費」が老後破綻の引き金になるケースは少なくありません。そのなかには、子どもの住宅購入や教育費の援助が含まれているのです。
