(※写真はイメージです/PIXTA)

令和6年度(2024年4月〜2025年3月)のふるさと納税受入額は、前年を上回る1兆2,728億円に達し、過去最高を記録。寄付件数は約5,879万件、控除適用者数は令和7年度課税分で約1,080万人にのぼった。寄付の使途では「子ども・子育て」「教育・人づくり」「地域・産業振興」が多くの自治体で選ばれ、地域課題の解決や地域活性化に活用されている。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

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令和6年度の納税受入額は過去最高も、地域間で取り組みに差

総務省の「ふるさと納税に関する現況調査(令和7年度実施)」によると、令和6年度の全国のふるさと納税受入額は1兆2,728億円で過去最高となった[図表1]。寄付件数は約5,879万件、控除適用者数は令和7年度課税分で約1,080万人にのぼった[図表2]。前年度と比べると受入額は約1.1倍、受入件数は横ばいとなった。

 

(出典)総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」
[図表1]ふるさと納税の受入額及び受入件数の推移(全国計) (出典)総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」

 

(出典)総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」
[図表2]ふるさと納税に係る住民税控除額及び控除適用者数の推移(全国計) (出典)総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」

 

都道府県別の受入額を見ると、北海道(1,799億円)、宮崎県(約582.8億円)、兵庫県(582.4億円)が上位に並んだ一方、受入額が少ない自治体も多く、地域間でふるさと納税の取り組みに差が生じている。自治体の特色や返礼品戦略が寄付額に影響しており、地域間競争の一面が浮き彫りとなった。

 

住民税控除の適用状況では、東京都が約200万1,000人で最多となり、控除額は約2,160億円にのぼった[図表2]。これは都市部の高所得層による寄付の存在を示すとともに、住民税控除制度の利用状況を端的に表している。控除対象者数上位には大阪府や神奈川県、愛知県も名を連ね、人口規模や所得水準の高さが寄付行動に直結していることがうかがえる。

 

一方で、人口が少ない地方自治体では控除対象者も少なく、控除額も相対的に低い傾向が見られ、地域間の寄付・控除格差が浮き彫りとなった。また、控除額と控除人数の関係を見ると、1人あたりの平均控除額は東京都で約10万8,000円となり、全国平均の約9万4,000円を上回った。このことは、高所得層による大口寄付が受入額全体を押し上げている構造を示している。

増加する「クラファン型」、目的に特化した資金活用が可能に

寄付の使途では「子ども・子育て」分野が最も多く、受入額は1,796億円、受入件数は855万件に達した。教育・人づくりや地域・産業振興も多くの自治体で選ばれ、少子化対策や教育環境改善、地域経済の底上げといった社会課題への関心の高さがうかがえる。

 

近年増加しているクラウドファンディング型のふるさと納税は、令和6年度には451団体が実施し、プロジェクト総数は1,228件、受入総額は227億円にのぼった。従来の返礼品中心型に加え、目的に特化した資金活用が可能になる新しい手法として注目されている。

 

一方、ふるさと納税にかかる費用は返礼品費用が3,208億円、事務費等が1,676億円、広報や決済費用を含めた総額は5,901億円に達し、受入額の約46%を占めた[図表3]。寄付の多くが費用として消化される構造も明らかになり、効率的運用や透明性の向上が課題となる。

 

(出典)総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」

[図表3-1]ふるさと納税の募集に要した費用(全団体合計額) (出典)総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」

 

(出典)総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」
[図表3-2]ふるさと納税の募集に要した費用(全団体合計額) (出典)総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」

 

令和6年度の受入額は過去最高となったものの、少子化や税制変更の影響で今後の寄付増加は不透明だ。自治体の戦略や地域ブランド力が寄付額に大きく影響するなか、地域間格差の拡大も懸念される。ふるさと納税の持続的発展には、効率的運用、地域ニーズに沿った寄付金の活用、そしてクラウドファンディング型の新たな取り組みの拡大が求められる。

 

 

THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班

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