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老後不安につけ込む「危うい誘い」
退職金を受け取り、年金暮らしが始まると、多くの人がこう考えます。
「このお金で、本当に老後を乗り切れるのだろうか?」
医療費や物価の上昇、長寿化による生活費の不安。年金だけでは足りないかもしれないという焦りが、資産を増やしたいという気持ちを膨らませていきます。
そんな不安にそっと入り込んでくるのが、「確実に増える」「リスクはない」といった言葉で誘う投資話です。実は、高齢者を狙った投資詐欺は年々手口が巧妙になっており、身近な人からの紹介や、信頼関係を利用するケースも少なくありません。
70代の佐藤美代子さん(仮名)もまた、「確実に増える」という甘い言葉を信じ、大切な老後資金300万円を手放してしまった一人です。
年金月16万円。老後資金に不安を感じていた美代子さんが手を出したのは、「年利10%を約束する投資商品」──。しかし、それは甘い言葉の裏に落とし穴が潜む、危うい誘いでした。
「老後資金が増やせる」と誘ったのは、信頼していた友人
「美代子さん、せっかく貯金があるなら、増やさなきゃもったいないわよ」
そう声をかけてきたのは、同じシニア向け体操教室に通う友人の田辺さん(仮名)でした。話を聞けば、「年利10%」「元本保証」「紹介した人にも紹介料が入る」など、夢のような条件が並んでいます。
「怪しい気もしたけど、あの人は昔からしっかりしていたし、何より“自分もやってる”と言うものだから信じてしまいました」
美代子さんは、手元にあった300万円の定期預金を解約し、全額をその「高利回り投資」に充ててしまいました。
投資を始めた当初は、月に数万円の配当が銀行口座に振り込まれていました。これに安心し、周囲に「ちゃんと儲かってるのよ」と話していた美代子さん。
しかし、ある日突然、投資会社から1通のメールが届きます。
「現在、世界情勢の影響により運用が難航しております。次回以降の配当については一時停止とさせていただきます」
「それっきり、まったく音沙汰がないんです。電話も繋がらない。紹介してくれた田辺さんに相談したら、“私も連絡が取れないの”って…。頭が真っ白になりました」
