帰省が白紙になって気づいた真実
河野遥香さん(仮名・40歳)は、都内で働く女性。同じ年の夫と猫と暮らしています。仕事に邁進したかったこともあり、夫婦で話し合って子供を作らない選択をしました。
お盆の時期は夫の実家の長野に毎年恒例で帰省していましたが、今年は遥香さんがお盆の直前にひどい夏風邪をひいてしまったこともあり、結婚10年で初めて帰省をしない選択をしました。ところがこれが大当たり。遥香さんは「なぜ今まで帰省していたのだろうか?」と思うほど快適だったのです。
義母の言葉に虚しくなる瞬間
帰省していたときのパターンはざっとこんな感じでした。遥香さん夫婦は毎年高速で帰省するのですが、ラッシュを避けるために休暇をとって一足早く帰っていました。今年で言えば8日の金曜に休みをとって帰省するはずでした。
義実家に帰省するとゴロゴロしているわけにはいかないので、夕食の準備を手伝います。近所に住む義妹の一家も家族総出で来るので夕食の準備は毎回大変です。「たまにはお寿司でも取ればいいのに。ってか、義妹、あんたが言いなさいよ」と思いますが、実家ではないのでそういうわけにもいかず、黙々と夕食の準備を手伝います。
義妹は子供の世話にかかりっきりなので手伝いも期待できません。夫も配膳など「手伝って」くれますが、義母は「せっかく帰ってきたんだから、ゆっくりしなさい」と言い、そのたびに遥香さんは「えーと私は? 昨日まで働いていたんですけど! 帰りたくもない他人の家でなぜ私は食事の準備をしているのだろうか?」と虚しくなると言います。義父に関しては我関せずの態度です。
遥香さんは一人っ子ということもあり、大勢で食卓を囲む経験はなかったといいます。義妹夫婦には3人の子供がいるのですがみんな男の子でやんちゃで正直疲れます。3人の子供の相手をするたびに「子供を産まなくて本当によかった」と思うという遥香さん。帰省のたびに渡すお小遣いも年々負担に感じるようになってきました。「たまにはうちの猫のおやつもくれよ」と思いますが、そんなことも言えないのでニコニコしていますが、さすがに心が削られてきました。
自分の仕事に集中できたお盆期間
ところが今年は遥香さんが8月はじめに夏風邪をひいたことでお盆の予定は全て白紙に。普段からリモートもできる会社なので、遥香さんは1日だけ仕事を休んで翌日からは自宅で仕事を開始。幸い、長引いたと言っても熱もそこまで上がらず咳だけだったので普段と変わらず仕事ができました。
8日も有休をとる予定でしたが、急遽予定を変更して通常通り仕事。お盆の時期もいつもは有休を取るのですが、風邪も回復したこともあって出勤しました。お盆の職場は出勤している人もまばら。普段は後輩や部下のマネジメントに追われ、自分の仕事をじっくりする時間が取れないのが悩みだったのですが、後輩も部下も夏休みを取っていたので久しぶりに自分の仕事に集中できました。
一方、夫は夫で予定通りお盆休みを取ったものの帰省がなくなったので、都内の映画館に行ったり、読書をしたり、普段手が回らない家の掃除をしたりして過ごし、充実した休みだったと満足そうでした。
本当は夏風邪だったのですが、義実家には「コロナになった」と連絡した遥香さん。「夏風邪だったら治ってからいらっしゃいよ」と言われることを見越しての遥香さんなりの作戦だったのですが「コロナ」という言葉を出したら義実家もそれ以上は何も言ってこなかったと言います。
