(※写真はイメージです/PIXTA)

この人には財産を渡したい、でも、あの人には1円たりとも渡したくない――。相続を考えるとき、こうした強い感情が大きな動機となることは少なくありません。特に、長年関係がこじれてしまった「子の配偶者」の存在は、問題をより複雑にします。「我が子に財産を遺しても、結局はその配偶者に渡ってしまうのではないか……」そんな不信感が、根深い相続問題へと発展していくのです。本記事では、節子さん(仮名)の事例とともに、感情と制度が交差する相続問題について合同会社エミタメの代表を務めるFPの三原由紀氏が解説します。※相談事例は本人の許諾を得てプライバシーのため一部脚色しています。

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嫁姑問題が“相続問題”に変わるとき

法律上、法定相続人として財産を受け取れるのは、配偶者や子どもなどの親族に限られます。遺言があれば他人に遺贈することも可能ですが、節子さんが直接嫁に財産を渡すことはあり得ません。むしろ問題は、長男が相続した財産が、その後の相続で嫁に渡る可能性があることです。

 

たとえば、節子さんの死後に長男が遺産を相続し、その後に長男が亡くなった場合、その財産は長男の法定相続人である妻(=美穂さん)と子どもたちにわけられます。つまり、節子さんの遺産が、結果として長男の嫁に引き継がれてしまうのです。

 

節子さんは、そこに強い拒否感を抱いています。

 

「どうせ長男が先に死ねば、あの嫁が全部好きにするんでしょ。アパートを売って楽して暮らすに決まってる。夫と二人三脚で守ってきた、我が家の財産まで使われるなんて……。冗談じゃないわよ」

 

娘が訪れるたびに、節子さんは同じ言葉を繰り返します。

 

このように、嫁姑の確執は、時に“死後の相続”という形で再燃します。感情の問題が制度の中に流れ込んでくると、家族関係はさらに複雑になります。

嫁に渡さないために、現実的な3つの選択肢

嫁を含めた長男家族への積年の想いを鑑み、節子さんは顧問税理士から相続診断士を紹介され、相談に訪れました。ひとしきり話を聞いてもらい、具体的に3つの対策を提案されたのです。

 

1.長男以外の子ども(次男・長女)に多く相続させる

遺言で、法定相続分に縛られず、ほかの子どもに多く財産をわけることができます。長男の取り分を減らせば、結果として嫁に渡る額も抑えることが可能です。ただし、長男には「遺留分」があり、全財産の6分の1(相続人が3人の場合)は最低限受け取る権利があります。

 

2.信託を活用して“最終的な受益者”を嫁以外に設定

アパートなどを信託財産として管理し、節子さん→長男→孫、または次男・長女へと受益権を引き継ぐ形を設計することで、嫁が関与しづらい資産承継が可能になります。 信託契約には専門家の関与が必須ですが、制度的には非常に強力な選択肢です。

 

3.生前贈与で、長男家族以外に資産移転しておく

嫁に渡したくない財産は、元気なうちに別の子どもや孫に贈与しておくのも現実的な方法です。年間110万円以下の贈与であれば非課税で進められるため、コツコツと資産移転をしていく方も増えています。

 

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次ページどれだけ制度を駆使しても、思いどおりにはならない…節子さんの決断

※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。

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