1通のLINE…衝撃の内容
次男の就職から2年ほどたった日、1通のLINEが。智恵子さんはその内容に衝撃を受けました。
「会社、辞めました。しばらく海外に行きます」
すぐに電話をかけ、何かトラブルがあったのかと尋ねましたが、そうではありませんでした。
「給料は少ないけれど、海外に行って貧しい子どもの学習支援の仕事をしたい」
そう静かに言ったのです。20代で年収1,000万円も夢ではない仕事。それをなぜ捨てたのか……。智恵子さんは驚き説得しましたが、次男はこう続けました。
「進路も習い事も、全部親の期待で決まっていて苦しかった。地元を離れて奨学金まで借りて、東京で勉強したいとも思っていなかった。自由な兄が心底羨ましかった。これからは自分の人生、自分で選びたいと思ったんだ」
その言葉に、智恵子さんは返す言葉がありませんでした。あれほど尽くしてきたのに……。すぐに納得はできません。しかし、すでに退職済みとの事後報告。そこに息子の強い意志が見えました。
当面、奨学金の返済が滞らない程度の貯金は、この2年でしていたとのこと。就職をする前から海外に行く夢はあり、それに向けて計画を立てていたのだといいます。
「子どものためと思って身を削っていたけれど、意味がなかったのか」
項垂れた智恵子さんでしたが、感謝もしているという次男の一言に救われたといいます。さらに、夫も長男も、次男の選択を歓迎。「十分、家族の期待に応えてくれた」「海外に行って、将来はもっと成功するかもね」。そう明るく話します。
夫からは、完全に子どもは手を離れた。自分たちとは違う人生を送っているんだから、夫婦の老後のことだけを考えようと励まされました。
54歳になった智恵子さん。教育費に全振りしてきたため、貯金は200万円もありませんでした。
「子どものことばかり考えていたら、気が付けばこんな年に。でも、もう定年まで時間がないんですよね。これからは夫婦で老後に苦労しないための準備をしっかりとしなければ。そう思っています」
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