買ってよかった…ローンを抱えるも大満足
選んだのは5,500万円の新築マンション。ピカピカの内装、広々としたキッチン。加えて広いベランダもあり、マンションの共用施設も充実。予約をすれば友人が宿泊できるゲストルームまであります。
これには絵里さんのテンションは最高潮。吉野さんも、モデルルームの内覧をした時点ですっかり気に入ってしまいました。
頭金を差し引いたローン総額は5,000万円、月々の返済額は14万円弱(年間160万円)。金利は変動型、ローン完済予定は70代です。
管理費・修繕積立金・駐車場代と固定資産税を月換算して加えると、維持費全体で月5万円ほどがプラスになる計算です。結局、賃貸のときよりも支出は多くなりましたが、絵里さんが働くのであれば問題なく支払うことができます。なにより、充実した設備を考えれば、これぐらいの上乗せは仕方ないと納得したのです。
ところが、住宅ローンの返済が始まってから6年。吉野家には思ってもみなかった現実がのしかかってきました。
夫の収入減、妻の再就職失敗
夫婦の誤算は、増えると思っていた収入が増えなかったことです。吉野さんは会社の業績が悪化し、賞与の大幅カットで年収が550万円までダウンしていました。
一方、購入前に「自分もフルタイムで働いて稼ぐ」と宣言していた絵里さんでしたが、いざ就職してみるとそう簡単にはいきませんでした。
下の子が学校を休みがち、フルタイムで働いて子育てもしたら、体力がとても持たない……。結局、正社員は諦め、アルバイトをこなす程度に。年収は100万円にも届きません。
さらに、成長する子どもたちの食費や教育費の増加、車の買い替えなどの支出が重なり、家計は毎月ギリギリに。
貯金の残高はみるみる減っていきました。このままでは家族旅行なんて夢のまた夢。子どもの児童手当には手を付けていませんでしたが、それも使いたいと思うほどに追い詰められていました。
ローンに追われ、喧嘩も増え、笑顔のない日常。子どもたちも夫婦の不穏な空気を感じているのか、不安そうな顔を見せることが増えました。
このままでは良くない。そう判断した吉野さんは、家を手放すことを決意。絵里さんは、それだけは嫌だと当初突っぱねたものの、子どものことを考えて納得しました。
幸いにも、購入時より不動産価格が上がっていて、売却後には数百万円の手残りが。買い替えの選択肢もありましたが、「もうローンに追われるのは疲れた。転職したいし、借金は抱えたくない」と、再び賃貸へと戻る選択をしました。
引っ越し先は、以前よりやや駅から遠い場所。ですが、生活レベルに合わせて転居するのも自由です。何より、借金のない安定した暮らし。夫婦は「賃貸も悪くない」と満足していると言います。
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