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「定年後は地方でスローライフを」夢の北海道移住
「のんびりした自然の中で、静かに暮らしたかったんです。月15万円でも暮らしていけるって、移住支援のパンフレットにも書いてありましたから」
そう語るのは、都内在住の藤田博さん(仮名・69歳)。退職後、夫婦で北海道に移住し、第二の人生を歩み始めたものの、わずか3年で東京に戻るという決断をしました。
豊かな自然と広々とした一軒家。理想に見えたその暮らしの裏には、予想外の現実が待っていたのです。
藤田さん夫妻が北海道移住を決めたのは、博さんが65歳で定年退職を迎えた直後のことでした。子どもたちはすでに独立し、夫婦ふたりだけの生活。住み慣れた東京のマンションを売却し、自然に囲まれた土地で静かな老後を過ごしたいと考えました。
「老後資金はそれなりに確保していましたが、年金の範囲でやりくりしたくて。北海道のある町のホームページに“月15万円で穏やかに暮らせる”とあったんです」
地元自治体による移住支援制度も充実しており、築年数は古いながらも2LDKの戸建てを格安で借りることができました。移住当初は「空気も美味しくて、都会のストレスから解放された」と感じたといいます。
しかし、暮らし始めてすぐに現実の厳しさに直面することになります。
最大の誤算は、冬の厳しさでした。
「雪かきって、もっと気軽な作業だと思っていました。でも毎日、腰まで積もる雪をスコップでかき分けるのは、70近い体には無理がありました。業者に頼めば1回5,000円〜1万円。1シーズンで10万円を超えることもありました」
さらに暖房費も想定以上にかかり、12月〜2月の光熱費は月3万円を超える月も。都内にいた頃より高くつくことさえあったそうです。
また、地域コミュニティへのなじみにも苦労しました。
「近所の方は皆さん親切なんですが、やっぱりよそ者感は否めませんでした。ゴミ出しのルールひとつとっても暗黙の了解が多くて、気疲れしました」
年金収入は夫婦で月約20万円。そこから食費、通信費、車の維持費、暖房代、医療費……想定していた月15万円生活は、すぐに崩れていきました。
「家賃は安くても、車が必需品です。ガソリン代も上がっていたし、車検やタイヤ交換もバカになりません。移動のたびにお金がかかるのは想定外でした」
地方では公共交通が乏しく、日常の買い物も病院通いも車がなければ成立しません。カーシェアも使いづらく、高齢夫婦にとっては「移動」そのものが生活コストになっていました。
