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米国向け輸出数量は横ばい圏で踏みとどまる
25年6月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲1.6%(5月:同▲1.4%)、EU向けが前年比7.0%(5月:同6.3%)、アジア向けが前年比4.4%(5月:同1.5%)、うち中国向けが前年比▲5.8%(5月:同▲7.8%)となった。
25年4-6月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比0.4%(1-3月期:同2.2%)、EU向けが前期比3.7%(1-3月期:同▲2.0%)、アジア向けが前期比▲0.9%(1-3月期:同0.1%)、うち中国向けが前期比▲3.0%(1-3月期:同0.2%)、全体では前期比0.8%(1-3月期:同▲0.7%)となった。
アジア向けは弱い動きとなったが、EU向けは持ち直し、米国向けは関税が引き上げられた中でも数量ベースでは横ばい圏で踏みとどまった。
米国向けの輸出は数量面では関税引き上げの影響が顕著に表れていない。一方、米国向けの輸出価格指数は3月の前年比8.4%から4月に同▲3.0%とマイナスに転じた後、5月が同▲9.8%、6月が同▲9.9%と低下幅が大きく拡大した。輸出価格低下の一因は円高だが、為替レートの変動以上に輸出価格指数は低下している。
25%の追加関税が課せられた米国向け自動車輸出は4月に前年比▲4.8%と4ヵ月ぶりの減少となった後、5月が同▲24.7%、6月が同▲26.7%と減少幅が大きく拡大した。数量は横ばい圏の動きとなっている(4月:同11.8%→5月:同▲3.9%→6月:同3.4%)が、輸出価格が4月の前年比▲14.8%から5月が同▲21.7%、6月が同▲29.1%と低下幅が拡大したことが輸出金額の大幅減少につながっている。
貿易統計の輸出価格指数は円ベースのため、為替変動の影響が含まれるが、日本銀行の「企業物価指数」では、契約通貨ベースと円ベースの輸出物価指数が公表されている。北米向け乗用車の輸出物価指数を契約通貨ベースでみると、3月の前年比▲1.5%から4月が同▲8.1%、5月が同▲18.9%、6月が同▲19.4%とマイナス幅が急拡大している。
関税引き上げによる輸出への影響は、価格競争力低下に伴う数量の減少と数量の落ち込みを緩和するための輸出企業の価格引き下げに分けられる。米国向け自動車輸出は価格の大幅な引き下げによって数量ベースでは横ばい圏にとどまっている。米国に輸出する自動車は日本の海外子会社が米国で販売しているケースが多い。日本の親会社が米国でのシェアを維持するために、関税引き上げ分のコストを負担していることが推察される。
輸出価格の大幅な引き下げによって輸出数量の落ち込みは緩和されているが、その裏では国内の企業収益が大きく悪化していることには注意が必要だ。
実際、日銀短観25年6月調査では、自動車の25年度の経常利益計画が前回調査から▲24.9%の大幅下方修正となり、前年度比▲23.4%の大幅減益計画となった。輸出の伸びが若干下方修正されたことに加え、売上高経常利益率が前回調査から▲3.05ポイントの大幅悪化となったことが経常利益を大きく下押しした。輸出価格の引き下げが利益率の悪化をもたらしている。
4-6月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに
6月までの貿易統計と5月までの国際収支統計の結果を踏まえて、25年4-6月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比2%台半ばの増加、輸入が前期比1%台後半の増加となった。
この結果、4-6月期の外需寄与度は前期比0.2%(1-3月期:同▲0.8%)と2四半期ぶりのプラスとなることが予想される。
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