(写真はイメージです/PIXTA)

7月14日にインド統計・計画実施省から公表された消費者物価指数(CPI)によると、6月のCPI上昇率は前年同月比2.1%となりました。地域別にみても都市部・農村部ともに低下しています。なかでも価格下落の続く野菜がCPIを大きく押し下げる結果となったようです。本稿では、ニッセイ基礎研究所の斉藤誠氏が、インドの6月のCPI上昇率について詳しく解説します。

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根強いインフレ圧力、追加利下げへの期待高まるが…

6月のインフレ率(CPI上昇率)は前年同月比2.1%と、主に野菜や豆類を中心とした食品価格の緩和とベース効果により8ヵ月連続で低下し、2019年1月以来の低水準となった。短期的にはベース効果が続くなか、国際商品市況の緩和を受けて落ち着いた推移が続きそうだ。

 

インド気象局(IMD)の予測では、今年の南西モンスーンの降雨量は長期平均(LPA)の106%となっており、2年連続で平年を上回る可能性が高い。実際、6月1日~7月14日の降雨量は平年を9%上回っており、コメや豆類など主要作物の播種は順調に進んでいる。10月頃に収穫時期を迎えるカリフ作の生産に好影響を与える見込みであり、価格安定の兆候となっている。

 

RBIは6月の金融政策委員会(MPC)では3会合連続の金融緩和を決定し、成長支えるために0.5%の大幅な利下げを前倒しで実施する一方、政策スタンスを緩和的から中立的へと変更した(図表3)。

 

出所:CEIC
[図表3]インフレ率と政策金利 出所:CEIC

 

6月のCPI低下やインフレ見通しの改善を受けて、インド準備銀行(RBI)の追加利下げへの期待が高まるが、コアCPIはサービスとパーソナルケアの堅調な伸びに牽引されて緩やかに上昇しており、インフレ圧力は根強い。

 

また天候の不確実性や米国の貿易政策による国際商品市況への影響を見極めるためにも、8月の会合は据え置きとなる可能性が高い。ただし、今後インフレが低下傾向で推移する場合には、10月に追加利下げが実施される展開が予想される。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年7月15日に公開したレポートを転載したものです。

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