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さらなる追い打ちの「課税」
さらに田中さんを追い詰めたのが「税金」でした。
2,000万円の投資が時価400万円の株式となって償還され、焦っていた田中さん。しかしその後、株式は多少値を戻し、800万円まで回復したところで、田中さんはこれ以上の損失を避けようと売却を決断しました。
安堵も束の間、今度は課税の仕組みを知り、愕然とします。税金の計算上、この取引は「400万円の元手が800万円に増えた」とみなされました。つまり、実際には1,200万円もの大損をしたにもかかわらず、計算上の利益400万円に対して約20%、およそ80万円もの税金を支払う必要があったのです。損失のうえにさらに税負担がのしかかるという、まさに踏んだり蹴ったりの状況でした。
田中さんは、「損失から多少戻っただけなのに、税金を取られるなんて!」と怒り心頭。担当の銀行員を呼び出し、怒鳴りつけました。銀行員は「自分はリスクの説明もしっかりと行った」と毅然とした態度で、債券で運用するという別の投資信託への乗り換えを提案してくる始末。もはや田中さんはなにも信じられません。
銀行からカモにされないための「効果的な逆質問」
田中さんのように、仕組債で大きな損失を被った高齢者は全国に存在します。特に、退職金や老後資金を持つ高齢者層は、銀行からの“カモ”とされることすらあるのです。
こうした事態を防ぐために、ぜひ覚えておいてほしい質問があります。それは、「あなた(銀行員)もこの商品、買ってるんですか?」と聞くこと。実は、仕組債のような商品を営業している銀行員の多くは、自分自身ではまったく購入していません。リスクが高すぎて、自分の資金では絶対に手を出さない商品を、「ノルマ」や「営業成績」のために、お客様に提案している可能性があるのです。
もし、その場で「私自身は買っていません」といわれたら――「自分には勧めるのに、あなたは買わないんですか?」という疑問が湧くはずです。また、「この商品、ご両親やご家族にも提案されてますか?」と聞いてみるのもよいでしょう。
自分の家族に勧められない商品を、他人には勧めてくる――そこに潜む“非対称性”に気づけるかどうかが、大きなわかれ道になります。
