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「カーテンを自分で選べるんですよ」
引越し直前、彼女は笑いながらいった。
「カーテンを自分で選べるんですよ。いままで、全部家族の意見だったから……」
たった一枚のカーテンに、彼女は“自由”を感じていた。家具、光、色、空間。すべてを自分の好みで選べる暮らしは、人生そのものを自分の手に取り戻す体験だった。
大人になっても親とともに暮らす子
長年、親とともに暮らしてきた人たちがいる。お金がないから、家族を見捨てられなかったから――。さまざまな理由で、他人からは見えない責任と覚悟を背負って生きてきた人たちだ。
けれど、社会はその選択に厳しいレッテルを貼ってきた。「甘えている」「結婚できない」「自立していない」――まるで、自分の人生を選ばなかったことへの罰のように。
実際、40代・50代の未婚者のうち、親と同居している人の割合は、1995年から2015年で約3倍に増加。2015年時点では、この世代の未婚者の過半数(52.4%)が親と同居しているという(みずほ総研調べ)。こうした人たちは、少し前までの彼女の予備軍だ。これは一時的な傾向ではなく、社会構造の変化そのものといえる。
「親の面倒をみるのは当然」と、自分のことを後回しにして生きてきた人々。その親が亡くなったとき、残るのは、実家と孤独だけかもしれない。そこから、「初めての一人暮らし」が始まる。その瞬間から人生は、自分に返ってくる。
これからの人生を、自分で選ぶ
問いたいのは、同居という過去の選択の是非ではない。その先の人生を、誰のために、どこで、どう生きたいのかということ。大切なのは、過去を悔やむことではなく、これからの人生を、自分で選んでいいと“自分に許可を出す”ことだ。たとえ50代でも、60代でも――「いまさら」ではなく、「いまから」人生は変えられる。
彼女は、詐欺に遭ったという大きな不運をきっかけに、「このままでは終われない」と動きだした。その選択が、人生を変えた。そしていま、彼女は新しい暮らしのなかで、新しい職に就いて、自分の世界を広げている。
