人に相談できるかどうか…それが大きな分かれ道に
――家族だけで解決するのが難しそうなときは、やはり外部の助けを借りた方がよいのでしょうか。
若杉:はい。「困ったな」と思ったタイミングで、まずは親御さんがお住まいの地域包括支援センターや役所の福祉課などに相談してみることをおすすめします。
第三者が入ることで話がスムーズに進むケースが非常に多い。たとえば、担当者が「つまずくと危ないから片付けましょうね」と声をかけると、すんなり片付けに応じてくれることもあるんです。外部の人が来ると「よそ行きモード」になるからでしょう。親子間ではそうはいきません。
とはいえ、親が子どもの言うことを素直に聞けないケースは本当に多く、最初に外部の人を招き入れる段階で苦労することもあります。親としてのプライドや甘えもあるのでしょう。そのため、たとえば「お母さんが亡くなったから、ちょっと外の人にも手伝ってもらおう」と伝えるなど、言い回しを工夫することが大切です。
『実家がしんどい!こちら「身内トラブル」のご相談窓口です』(三笠書房)にも書きましたが、そもそも、こうした福祉サービスが「どういった内容で、どこに相談すればいいのかを知らない方が多いのが実情です。ですから、まずは、相談先を押さえておくことが最も大切です。
福祉サービスも多様化しています。毎日でなくても週1回から契約できる配食サービスや、自治体によっては週3回までは配食が無料ないし補助があるケースなどもあります。介護認定を受けていなくても受けられるサービスも多いので、まずは親御さんがお住まいの地域包括支援センターや役所の福祉課などに相談してみましょう。
特に、お風呂に入れない、トイレに行けないなど、片付け以外にもできないことが増えてきたら、それは黄色信号。できるだけ早く福祉や医療の力を借りることを考えてほしいと思います。
それと、家族としてできることの一つは、怒らないこと。親相手だとつい説教したくなってしまいがちですが、「心配しているんだよ」と、気持ちに寄り添う姿勢が必要です。
同じものを何度も買ってしまったり、貴重品の紛失を人のせいにしたり、不衛生な状態になったり……。こうした行動の背景には、認知機能の低下があることも多く、責めても意味がない場合が多いのです。
ゴミ屋敷問題も、前回お話しした「引きこもりの子ども」の問題もそうですが、家族だけで何とかしようとして、かえって追い詰められてしまうケースが少なくありません。第三者に入ってもらい、最終的には親を施設に入れて実家を売る。そんな決断が最善となることもあるでしょう。
相続財産については、相続に詳しい弁護士に相談しましょう。弁護士にも得意分野があるので、相続案件の取り扱い件数などを聞いて確認するのがおすすめです。
こうした実家トラブルを「他人に知られたくない」と隠そうとするケースは少なくありません。ですが、人に相談できるかどうか。それが、問題が解決に向かうか、それとも悪化していくかの分かれ道になるのです。
若杉 恵
ファイナンシャル・プランナー/公認心理師/終活アドバイザー
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