実家のゴミ屋敷化で「最悪の事態」になることも
――そもそも、ゴミ屋敷化を未然に防ぐにはどうすればよいのでしょうか?
若杉:よく言われることですが、やはり「人と関わる」ことです。コミュニケーションを取ったり、何らかのコミュニティに属したり、外部とつながりを持っておくことが予防につながります。
たとえば、会社で管理職をしていた人が退職したとたん、居場所を失い、物を買ってコールセンターにクレームを入れたり、町内会でトラブルを起こしたりしてしまうことがあります。友人もおらず、妻にも先立たれ、気がつけば孤独になっている……。
人が家に来るとなれば、自然と家をきれいにしようという意識が生まれますが、誰も訪ねてこない状況では、そういう意欲も湧かなくなりますよね。
そして孤独になると、寂しさを物で埋めようとする人も多く、ネット通販で次々と買い物をし、届いた段ボールがそのまま積み上がっていく……ということも。実際、親の困窮に気づいた子どもがクレジットカードの履歴を見たところ、1,000万円以上を買い物に費やしていた、というケースもありました。
孤独は、詐欺被害に遭うリスクも呼び寄せます。健全なコミュニティに属していれば、こうしたリスクは大きく下がるはずです。たとえば週に1回、習い事に通う。ペットを通じて知り合いをつくる。行きつけの喫茶店に顔を出す――そういった「ちょっとした人との接点」が孤独の防波堤になります。
ゴミ屋敷になってしまう人は、決してもともと片付けられない性格の人ばかりではありません。また、公務員や教員、医師など、いわゆる「しっかりした職業」に就いていた方も多い。認知症だけでなく、うつ病などの精神的なきっかけも影響しており、決して他人事ではないのです。
ペットの世話ができなくなり、最悪の事態になってしまったという事例もあります。ですので、身内にゴミ屋敷化の兆しが見えたときは、早めに対処することが大切です。
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