「自分のために、障害のある子のために」と託した財産が…なぜ〈家族信託〉で問題が生じるのか?信託組成を依頼する前に知っておくべきリスク

「自分のために、障害のある子のために」と託した財産が…なぜ〈家族信託〉で問題が生じるのか?信託組成を依頼する前に知っておくべきリスク
(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症対策や円滑な事業承継の切り札として、近年利用が急増している「民事信託・家族信託」。しかし、その輝かしいメリットの裏で、信頼した家族による財産の使い込みや、専門家が関与したにもかかわらず目的を達成できないといった深刻なトラブルも発生しています。本記事では、信託にひそむリスクについて詳しく解説します。

信託における問題

(1)受託者のための信託

法律相談として多いのが受託者のための信託問題です。信託は、受託者に信託財産の所有権が移転します。信託法上、受託者は信託目的にしたがっ、信託財産を管理・運用することが求められますが、受託者が信託目的を無視して信託財産を費消するケースも少なくありません。

 

そのような信託は、大抵、受託者となる子が、委託者となる親を説得して民事信託を組成した経緯があり、本来は委託者・受益者のための信託が、受託者のための信託となってしまっているケースです。この受託者のための信託は、受託者となる子が信託財産を自己の利益のために費消している場合もあるので、委託者の子が受託者以外もいる場合は、兄弟姉妹間の紛争に発展する可能性もあります。

 

信託の利用が一般的な英米法系諸国では、受託者の信認義務(fiduciary)違反を問う訴訟が多いのですが、改正信託法施行から20年を経て、今後日本でも受託者に対する訴訟が増加するように考えています。

 

(2)信託目的が達成できない信託

信託は、長期継続することが一般的です。受益者連続型信託等は、100年以上継続する場合もあります。委託者の信託目的を達成しつつ信託が継続しているためには、信託の組成者が委託者のニーズだけでなく、財産・家族関係等もすべて理解した上で、将来生じるかもしれない様々なイベントについて想像力を働かせながら信託契約を組成する必要があります。

 

民事信託は、弁護士、司法書士、税理士等士業が作成する場合が多いのですが、士業に高い報酬を支払ったにもかかわらず、信託目的が達成できず、信託組成した士業の賠償責任が認められた裁判例もあります。民事信託は、委託者・受託者・受益者のほかにも、後継受託者、後継受益者、帰属権利者、残余財産受益者、信託監督人・受益者代理人・指図権者が絡む複雑なスキームです。そこで、委託者の設定する専門家は、信託目的を達成すべく、高い意識で信託組成に取り組む必要があります。

 

(3)税務リスクのある信託

信託契約は、委託者から受託者に財産が移転し、その信託財産を受託者が管理・運用するものです。したがって、当然に課税問題があらゆる場面で生じます。エステートプランニングで利用される民事信託の多くの場合は受益者が特定されていることから、受益者課税原則のもと、原則として課税は受託者ではなく受益者に行われます。しかしながら、スキームによっては受益者が存在しないとして受託者や、残余財産受益者、受益者指定権者に対し課税が行われることもあります。

 

また、日本の信託税制は、受託者課税が原則の英米法系諸国とはかなり異なることから、外国で組成された信託(以下「外国信託」)の日本における課税関係はよく問題となります。外国で受託者課税されたにもかかわらず、日本でも受益者課税されてしまい、課税項目が異なるため税額控除ができないという問題等です。

 

このような問題は、外国信託の組成時には、その当事者や財産所在地について日本という要素は関係なかったにもかかわらず、組成後当事者が日本に移住したり日本にある資産を信託財産に組み入れた場合等に生じます。

 

しかしながら、一方で組成当初から、日本の資産や日本居住者・日本国籍保有者が含まれていたにもかかわらず、日本の課税関係は一切考慮することなく現地の依頼者向けと同様に外国信託を組成した結果、予想もしなかったような課税が生じてしまった場合もあります。日本での外国信託の法務・税務の取扱い問題は重要かつ難しい問題といえます。

 

 

酒井 ひとみ
シティユーワ法律事務所

 

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