子どもの金融リテラシーを育む成功体験を積む方法
何かを手に入れることも大事ですが、何かを行う、体験することは子どもの成長にとってかけがえのないものです。ただあまりに漠然としていてはイメージをつかみにくいと思うので、身近なお金の使い方である買い物を例にして「欲しいものを買うための目標設定」について考えてみます。
例えば子どもが「自転車が欲しい」と言い出したとします。「全額、親が出してやる」もしくは「諦めなさい」の二択で考えるのではなく、自転車が欲しい、という子どもの目標に向かって、親子で一緒に取り組むことをおすすめします。
【やること1】欲しいもの(やりたいこと)の金額を確認する
欲しい自転車について親子で話して決めていきます。必要な性能やどんなものが長く使えるか、などの判断基準も与えつつ、一緒に具体的に考えていきます。
次に、子どもと一緒に、欲しいものの値段を調べてみます。実際に金額の目安が分かると、手に入れるために必要な時間と労力をイメージできるようになります。
欲しいものが高すぎる場合は、安く手に入る方法はないか考えてみるのも良い方法です。新品か、安い中古品にするのか、親が援助するのか、など、子どもの年齢も考えながら現実的に可能な挑戦になるよう、親がアドバイスをします。
【やること2】欲しいものが手に入る(やりたいことが実現する)期間を計算する
子どもと相談して、購入する方法と期間を決めていきます。おこづかいから一定額を貯金したり、すでに貯めているお金があれば、それを使用して購入したりする方法が挙げられます。
日々のおこづかいから一定額を貯金していく場合、欲しいものが手に入るまでの期間を計算してみましょう。初めのうちは、手に入れるまでにあまりに時間がかかってしまうと、子どもがやる気を失ってしまう可能性があります。子どもが自分で目標に向けて貯金をできたという成功体験をつくりたい場合は、3カ月から半年をめどに貯金が完了するように工夫するとよいです。
【やること3】おこづかいアプリなどを使って進捗を記録する
おこづかいアプリの貯金機能などを使って、貯金の進み具合を子どもと一緒に記録していきます。進捗を確認し、あとどれくらいで欲しいものが手に入るかが目に見えて分かるようになると、子どものやる気も高まります。
実際に始めてみて「計画どおりにやるのは難しい」と分かったとしたら、改めて計画の見直しや修正を行います。進みが遅ければ月の目標額を増やしたり、お手伝いの報酬を貯金に回したりしていきます。
もし貯めている途中で「ほかのものが欲しい」と子どもが言い出したとしても、親が過度に干渉せず、アドバイス程度に抑えます。
「これを買ったら、欲しいものが遠のくけど大丈夫?」「今欲しくなったものと、これまで欲しいと思ってきたもの、どっちが大切?」などと問いかける程度のアドバイスであれば、子どもの判断力を養う機会となるはずです。
たとえ「やっぱり自転車は要らない。貯めたお金を、新作のゲームを買うことに使いたい」などと言い出したとしても、子どもの思いを否定しないでください。気が変わることもありますし、ひょっとしたら、実はそこまで自転車が欲しいわけではなかったのかもしれません。
ただ実際にゲームを買ったあとで「やっぱり自転車を買うのにお金を使えばよかった」などと子どもが後悔するケースもあります。その経験は、次の目標を目指す際の貴重な教訓となります。
子どもがあまりに自分を責めすぎている場合は「ほかのものが欲しくなっちゃうこともあるよね。もう1回頑張りたいなら、また貯金を始めてみようよ」と前向きな言葉をかけてください。
