キャッシュレス時代の<ネット詐欺>
ネット決済やデジタルマネーを巡る詐欺やトラブルの被害は、子どもと無関係ではありません。SMBCコンシューマーファイナンスの実施した「金融リテラシーと家庭の金融教育に関する調査2023」によると、子どもがトラブルに遭ったことがある人の被害内容は「ネットオークション詐欺」が最も多く29.6%、次いで「フィッシング詐欺」が21.0%、3番目は「ワンクリック詐欺」で17.3%だったそうです。
こうしたネット詐欺は増加傾向にあります。フィッシング対策協議会の調べによると、2022年の間に報告されたフィッシング詐欺報告総件数は約96万件、2023年のフィッシング詐欺の件数は約119万件と、1年間で22万件以上増加しています。
使い古された手段であっても、子どもにとっては詐欺かどうかを見抜くことが難しく、「自分が何か悪いことをしてしまったのでは」と考えて親にも相談できず、親の知らないところで引っかかってしまうケースが多々あるようです。
〈ネットオークション詐欺〉
ネットオークションサービスやフリマアプリで、出品者が意図的に商品を発送しない、または偽物を送る手口の詐欺です。ほかにも、代金を騙し取り、出品者の電話番号に電話しても連絡がつかない、名前や住所も虚偽であるなど、悪質な詐欺事件も起きています。また落札者がさまざまな理由や難癖をつけて購入代金を支払わず、そのまま商品を騙し取るケースもあります。
詐欺に遭わないためには、まず取引する相手の評価を十分に確認することが大切です。
また出品画像が本物か(メーカーのWebサイトの写真やカタログの写真を撮影して載せていないか)、同じ商品画像が別の出品物にも使用されていないか、事前によく確認してください。実際にはものがないのに、出品している可能性があります。
また取引相手によっては「直接メールでやりとりしませんか?」などと、サービス上で禁止されている取引を持ちかけてくることがありますが、ルールに沿ってやりとりしてください。
〈フィッシング詐欺〉
実在する金融機関やショッピングサイト、宅配便事業会社、電気会社、ガス会社、水道局、国税局などを装った電子メールやショートメッセージを送り、これらのWebサイトとそっくりな偽サイトに誘導して、パスワード、ユーザーID、クレジットカード情報などの個人情報を盗み取るものです。実際にこれらの会社や公的機関が、メールで個人情報の入力を求めることは通常ありません。メールが届いたら送信元が公式サイトのアドレスになっているか、タイトルや文面が不自然ではないかを確認し、メールに書かれているリンクは開かない、メールに記載された連絡先には連絡しないことを徹底します。連絡する場合は、正規のサイトや問い合わせ窓口から連絡してください。
〈なりすまし詐欺〉
有名芸能人や実業家の名前を騙って、お金を騙し取ろうとする詐欺です。実在する人の名前を出し、芸能人からメッセージが届いたかのように思わせ「周りの人には相談できずに困っている」「〇〇さんから連絡先を聞きました。こちらのアドレスを登録してください」などといった文面が送られてきます。やりとりが始まると有料の会員制サイトに誘導されるのが主な手口です。
会員サイトに誘導されたあとは、引き続きやりとりをするには有料ポイントが必要だ、といったような話で、何かしらの料金の支払いを求められます。
芸能人やその関係者が、見ず知らずの人に連絡してくることはあり得ません。こういう詐欺の種類があることを知っておき、連絡は無視しましょう。
〈ワンクリック詐欺〉
Webサイトや電子メール、ショートメッセージに記載されたURLを一度クリックしただけで「登録が完了しました!」「ご購入ありがとうございます」などと書かれた完了画面につながり、多額の料金の支払いを求められる詐欺です。
フィッシング詐欺は個人情報を騙し取るものですが、ワンクリック詐欺の場合は「知らず知らずのうちに登録してしまったのではないか」「支払わないと大変なことになるのでは」といった不安を煽ることで、直接お金を騙し取る方法です。
いかにも契約手続きが完了しているかのように見せかけ、加えて利用しているインターネットサービスプロバイダの情報などを表示させるなどして、利用者の情報が特定されたような表示をして「お支払いいただけない場合は、自宅までおうかがいします」などと書かれているのも、よくある手口です。
しかし通常、メールに書かれたURLをクリックしただけで、ネット上での契約が成立することはまずありません。ネット上での契約を成立させるためには、購入前の画面で「その契約が有料であること」また「その契約にいくらの料金が必要か、分かりやすく明示すること」、申し込みボタンを押したあとで確認画面が表示されること、といったさまざまな条件が設定されています。このような手続きをきちんと踏んでいるか、まず確認してください。
また、このようなメールを送ってくる業者に対して、インターネットサービスプロバイダが顧客の個人情報を開示することもありません。「自宅に行く」といった脅し文句に、びっくりしてお金を支払ってしまう子どもがいるかもしれないので、正しい知識と怖がる必要がないことを教えてください。
〈架空請求〉
突然、利用した覚えのない請求が、メールやハガキなどで送られてくる詐欺です。◯日以内に支払わない場合は、自宅に取り立てに行く、延長料金を請求するといったことが書かれています。無差別に請求の連絡を送信している場合が多く、身に覚えのない請求を支払う必要はありません。一度支払ってしまうと、二度目、三度目と請求が来る可能性があります。支払いに、コンビニなどでデジタルマネーのカードを購入するよう指示し、番号を教えさせる方法が指定されることがありますが、これは詐欺の手口なので、安易に支払ってはいけません。
不安を感じる場合は、警察(最寄りの警察の相談窓口につながる電話番号「#9110」)や消費者ホットライン「188」に連絡し、相談してみてください。
見原 思郎
シャトル株式会社 代表取締役
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