デジタルマネーと現金、何が違う?
キャッシュレス決済にはさまざまな種類があります。
〈デジタルマネー/プリペイドカード(前払い型)〉
さまざまな会社が独自に発行している電子的なお金で、主にスーパーやコンビニ、改札機でタッチしてお金を支払う。交通系ICカードなど。
〈スマートフォンのコード決済(前払い型・後払い型など)〉
二次元コードやバーコードを通じて決済を行う。「PayPay」など。
〈デビットカード(即時払い型)〉
カードを読み取り端末に差し込んだり、かざしたりすると、代金が銀行の口座から即時に引き落とされる。発行会社にもよるが、一般的には15歳以上(中学生を除く)、もしくは16歳から作成可能。
〈クレジットカード(後払い型)〉
その場で支払うことなく商品やサービスを受け取ることができ、あとでお金の請求がくる。2022年の成年年齢引き下げによって、満18歳(高校生は除く)から申し込みが可能になった。
このようなキャッシュレス決済について「お金を使っている感覚がなくなり、ついつい使いすぎてしまいそう」「個人情報流出などのセキュリティ面が心配」といった不安の声を聞くことがあります。ただし小中学生が主に利用する、交通系ICカードなどのプリペイドカードや、「PayPay」などのコード決済においては、オートチャージ機能さえつけなければ、限度額を超えて使用してしまう危険はありません。
一方で「交通費のために交通系ICカードを渡したのに、子どもが勝手にお菓子やジュースを買ってしまい、交通費が足りなくなってしまった」というような親子での約束がうまくいかない理由でのトラブルは、よく聞く話です。
デジタルマネーと現金は、それぞれにメリットとデメリットがあります。デジタルマネーでまず分かりやすいメリットは、支払いの簡単さです。小銭を出し入れする手間が要らず、おつりの計算不要でスムーズに支払いができます。ネットショッピングなどのオンライン決済においても便利です。また、送金のしやすさもメリットの一つです。物理的に離れている状態でも、デジタルマネーなら簡単にお金を送ることができます。
また、現金の場合は紛失したらなかなか戻ってこないのに対して、デジタルマネーなら紛失や盗難などの理由で利用を停止したり、場合によっては払い戻しを受けたりすることができます。利用履歴が残るので、お金の管理がしやすいのも良いところです。
逆にデメリットは、支払いの便利さや送金のしやすさを不正に利用されやすい点です。
支払い画面やパスワードをうっかり共有してしまうと不正に使用されたり、デジタルマネーによる送金のしやすさを利用した詐欺などが起きたりしています。ただし利用履歴が残るので、まめに確認することで不正防止ができます。カツアゲのように、親に内緒で子ども同士がお金をやりとりすることを防ぐ面もあります。
一方、現金のメリットとして大きいのは、現状、日本では現金での支払いしか対応していない店舗がまだ多いことです。また電気やインターネット回線に頼らず決済ができるので、災害時には強く、防災バッグにはいくらか現金を入れておくとよいとよくいわれます。一部のモバイル決済はオフラインでの支払いに対応する仕組みを導入しており、災害時の決済手段としての研究・開発も進んでいますが、広く実用化されるにはまだ時間がかかると思われます。
さらに、現金の場合、使えば物理的になくなるので「お金が減る痛み」を感じやすいことです。子どもの年齢が小さい場合も、お金の価値を認識しやすく、大切なもの・必要なものから買う訓練には適しています。
半面デメリットとしては、落としたらそれっきりである場合が多いこと、火災や洪水などで使えなくなることもあること、支払いに手間取ることもあること、盗難などのリスクが挙げられます。
見原 思郎
シャトル株式会社 代表取締役
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