ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
老人ホームへ入居する母の荷物整理
坂東寛子さん(仮名/54歳)は、実家の片付けに追われていました。しっかり者だった母親(83歳)が認知症と診断され、専門的なケアが受けられる老人ホームへ入居することになったためです。
母親の年金額は月12万円。これだけでは施設の費用を賄えません。不足分は母親の預金から充てることになりますが、認知症で本人の意思確認ができないと銀行口座は実質的に凍結され、家族でも自由にお金を引き出すことはできなくなります。母親の財産を法的に管理するためには、「成年後見制度」を利用し、家庭裁判所に後見人を選任してもらう必要がありますが、その申し立てはこれから。入居一時金は寛子さんが立て替え、当面の月額費用も立て替える予定です。
そこで寛子さんは、申し立ての準備と今後の資金計画を立てるため、まずは母親の資産を把握しようと考えました。今日は施設に持っていく荷物をまとめつつ、通帳の中身を確認するために実家を訪れたのです。
幸い、寛子さんは認知症になる前の母親から貴重品の場所を聞いていました。寝室のチェストの引き出しにある預金通帳2冊と印鑑。資産はこれだけだと思っていた矢先、掃除も兼ねて実家の中をみてまわっていたところ、旅行用カバンの内ポケットの中に別の通帳を発見します。それは、浪費癖のあった父(享年83)に内緒で母親が貯めていたヘソクリでした。
(もしかしたら、ほかにもあるのかも……)
注意深く家じゅうを探していくと、暗い仏間でなんとなくの違和感を覚えました。部屋はきれいに整頓されています。違和感の正体を探して部屋を見渡したとき、その視線は仏壇に吸い寄せられました。以前は毎日掃除をしていた母親のおかげで、仏壇は清められています。その仏壇を何気なく眺めていた寛子さんは、壁との間に不自然な隙間があることに気が付きました。
