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父が売ろうとした地方のボロ家を「オレが守る!」と長男が…
「アキちゃん、おじいちゃんの家、もうだめだよ。このままじゃ本当に危ない。完全に柱と天井が腐っている…」
猛烈に暑いある土曜日、会社員の佐藤明子さん(55歳・仮名)のもとに、遠方に暮らすいとこからLINEメッセージが届きました。
明子さんは、添付された写真を見て愕然。鳥取県の30年以上空き家になっている超築古の父方祖父の家が、いまにも崩れようとしていました。
「暑いのに写真を撮ってくれてありがとう。これはひどいね」
「すごいでしょう? 屋根や壁から草が生えているし、動物がいるのか異臭もひどくて」
「ホントごめんなさい。すぐ弟に連絡する」
「悪いけど、頼むわ…」
通話を切った明子さんは、大きなため息をつきました。
いとこが心配して連絡をくれた該当の家は、もともと明子さんの父方祖父の暮らしていた家で、祖父母が亡くなってからずっと、空き家になっていたのでした。
「父が生きていた10年前までは、親族との交流が頻繁で、父も定期的に親族の家に泊まりがけで遊びに行っていました。父はとても器用な人で、帰省するたび、古い平屋をあちこち自分で修繕していたのですが…」
父親は亡くなる1年前に、明子さんと弟の敬一さん(53歳・仮名)に、実家の後始末のことを相談していました。
「鳥取のおじいちゃんの家を200万円で買いたいという人がいるんだ。建物も解体しなくていいらしい。お父さんも年を取って実家に帰れないし、売ろうと思うんだが、どう思う?」
父親の実家は、駅から車で30分以上もかかる場所で、イノシシが近隣の畑を荒らしまくるような辺鄙な場所です。明子さんは願ってもないことだ思い、〈それはいい話ね〉といおうとした先に、弟が口火を切りました。
「絶対ダメだ、おじいちゃんの家を他人に売るなんて。そんなことをしたらおじいちゃんが泣くよ? あの家は俺が守る!」
「そうか、そうか…」
そんな会話から1年後、父親は70代後半で亡くなりました。
