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仕事一筋のエリート人生、その陰で
中堅ゼネコンで設計本部長まで務め上げた半田亮介さん(仮名)が、65歳で定年の日を迎えた。1970年代後半に入社して以来、彼の人生は仕事そのものだった。日本の高度経済成長とバブル景気の熱狂のなか、「家庭より仕事」が美徳とされた時代。亮介さんもその価値観を疑うことなく突き進んだ。
始発で出社し、帰宅はタクシーで日をまたいでから。週末は取引先とのゴルフ接待。そんな猛烈な日々を走り抜けることができたのは、2歳年下の妻、薫さん(仮名)の存在があったからだ。
知人の紹介で出会った薫さんは、地方から上京し美容師として働いていた、素朴で快活な女性だった。亮介さんは彼女の飾らない人柄に惹かれ、交際1年足らずで結婚。亮介さんの強い希望で、薫さんは専業主婦として家庭を守ることになった。
妻と子に不自由はさせない――。その一心で、亮介さんは仕事に没頭した。同期の先頭を切って出世街道を駆け上がり、50代前半で本部長に就任。退職時の年収は1,700万円に達し、会社員としては誰もが羨む成功を収めた。
その稼ぎは惜しみなく子供たちの教育に注がれた。長女を私立大学の薬学部に、次女を米国の大学に進学させるため、幼稚園から通算すると8,000万円以上の学費を投じた。その結果、手元に残った資産は退職金2,400万円を含めた貯蓄7,000万円と、45歳のときに購入した戸建て住宅のみ。それでも、妻と2人で穏やかな老後を過ごすには十分な額のはずだった。
