年金月23万円で慎ましく暮らす主婦、会話の中心は……
吉井貴子さん(仮名・66歳)は、夫の清司さん(68歳)との2人暮らしです。1人息子(37歳)は大学卒業後に就職・結婚し、現在は幼稚園に通う3歳と5歳の孫がいます。
夫の清司さんは65歳まで働き、そのあとは年金生活になりました。貴子さんは専業主婦だったため、2人を合わせた年金額は約23万円です。貯蓄額は現時点で2,500万円あるため生活に困るというまでではないものの、夫の退職が近づいたあたりから、贅沢は避け、慎ましく暮らしています。
そんな貴子さんの楽しみは、気心知れた友人たちと待ち合わせでおしゃべりをすること。昔から、子育てや夫の愚痴、テレビなどの話で盛り上がることができる貴重な存在です。ところが、60代を越えた頃から話題は孫の話ばかりになりました。
「やっと歩くようになった」「言葉が話せるようになった」「そろそろ七五三だから盛大にお祝いしないと」など、みんな孫が可愛くて仕方がない様子。遠くに住んでいる孫に会いに行くために、ホテルを取ってまで会いに行く人も。お遊戯会や卒園式、入学式などには絶対参加し、その都度お祝いをするという人もいます。
しかし、貴子さんの孫に対する感覚はそれとは違いました。もちろん遊びに来てくれるのは嬉しいのですが、それ以上に「ケガをしないか」「食べ物は口に合っているか」など気を遣ってしまうため、気疲れすることもしばしばです。そのため、友人たちとの温度差に違和感や居心地の悪さを感じるようになっていました。
