(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

●序盤の情勢では、与党が参院で過半数を維持できるかが焦点となる一方、野党は躍進の報道も。

●与党が参院過半数割れとなり政局不透明感が強まった場合は要注意、石破首相の進退が焦点。

●改選過半数未達なら野党との関係や消費税減税の扱いが日本株を見通す上で重要ポイントに。

序盤の情勢では、与党が参院で過半数を維持できるかが焦点となる一方、野党は躍進の報道も

7月20日が投開票日となる参議院選挙について、序盤の情勢が明らかになってきました。衆議院で少数与党の自民党、公明党の両党については、非改選議席と合わせ参議院で過半数議席の獲得を「うかがう」情勢との報道もあれば、過半数獲得は「微妙」、「苦戦」などの報道もみられます。一方、野党については、立憲民主党が議席数を増やし、国民民主党と参政党も躍進するとの報道が目立っています。

 

6月6日付レポートでも触れた通り、参院選は与党の改選議席の獲得数に基づき、3つのシナリオが想定されます。具体的には、与党が①改選過半数を獲得(63議席以上)、②非改選議席を含め参議院で過半数議席を維持(50議席以上、62議席以下、与党が必達とする目標)、③非改選議席を含めても過半数割れ(49議席以下)、の3つです。前述の序盤の情勢を踏まえると、②もしくは③のシナリオが注目されます。

与党が参院過半数割れとなり政局不透明感が強まった場合は要注意、石破首相の進退が焦点

そこで、②と③について日本株への影響を考えます。まず、②の場合、石破首相は当面続投となり、政局は参院選前とそれほど変わらず、選挙結果の日本株への影響度合いは限定的とみています。なお、与党が連立拡大を模索する場合、協議先と想定される日本維新の会や国民民主党の要求(図表1)を部分的に受け入れることも考えられますが、消費税減税の受け入れは難しいと思われ、財政悪化懸念で国内市場が混乱する恐れは小さいと予想します。

 

(注)減税規模は1年あたり。 (出所)各種報道、資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]主な野党の消費税に関する公約 (注)減税規模は1年あたり。
(出所)各種報道、資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

そして、③は与党敗北のケースであり、政局の不透明感が強まれば、日本株に下押し圧力がかかりやすくなることが見込まれます。この場合、石破首相の進退が注目されますが、仮に石破首相が辞任を表明すれば、自民党の総裁選挙、臨時国会での首相指名選挙が行われます(図表2)。ただ、自民党の新総裁が新首相に指名されるか否かは、衆議院で少数与党のため、野党の投票次第ということになります。

 

(出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]首相指名選挙について (出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

改選過半数未達なら野党との関係や消費税減税の扱いが日本株を見通す上で重要ポイントに

なお、野党が首相指名選挙で候補者を一本化すれば、政権交代の流れになるため、与党は、石破首相辞任の場合、連立拡大も視野に入れつつ野党の要求を受け入れ、首相指名選挙で野党の協力を得るのか、石破首相続投とし、案件ごとに野党の協力を得ていくのか、慎重に判断するとみられます。ただ、いずれも野党の減税要求が通りやすくなることで、財政悪化懸念が景気浮揚期待を上回り、市場が混乱するリスクは②よりも大きくなる恐れがあります。

 

そのため、相場安定の観点からは、相対的に②のシナリオの方が、日本株にとって好ましいと思われますが、どのシナリオに至るかは当然ながら選挙結果次第となります。参院選後、与党がどのような形で政権を運営していくのか、特に②と③の場合、与党は野党との関係をどう構築していくか、とりわけ野党が主張する消費税減税について、どのように判断していくかは、日本株を見通す上で、重要なポイントと考えます。

 

 

※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『参議院選挙序盤の情勢と予想される今後の日本株への影響【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』)。

 

市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト

 

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