事業承継対策の必要性
ファミリービジネスを営んでる富裕層の場合、その遺産に自社株が含まれるため、円滑な事業承継への配慮が必要となります。その遺産の価値の大部分をしめる自社株を特定の後継者に承継させようとする場合、遺留分侵害額請求や、自社株が分散してしまう場合の対策が必要です。
さらに、遺産の価値の大部分が自社株の場合、納税資金対策も重要となります。
事業承継対策という趣旨では、遺言の作成だけでは不十分な場合がほとんどです。その場合は、ファミリーガバナンス契約である株主間契約・信託契約のほか、種類株式を発行することによる議決権行使制限を行い、遺産の経済的価値を後継者でない相続人に帰属させても遺留分侵害額請求がされないようなリスクに備えることが求められる場合があります。富裕層の場合、遺産が多いため、紛争は激化する傾向にあります。
そこで、遺言を作成するにしても、遺言無効確認訴訟等の紛争リスクに備え万全な遺言作成準備(例:ビデオ撮影や、遺言能力を担保するための事前・事後の長谷川式テストや主治医による診断書の取得等)、遺留分侵害額請求対策としての遺留分放棄、ファミリーオフィスを通じた円滑な事業承継実行の準備等を行う必要があります。長谷川式テストは認知症のスクリーニング検査で、簡易検査法として多くの医療機関で使用されています。
ファミリービジネスを営んでいる富裕層にとっては、ビジネスの円滑承継への配慮から、事業承継対策(エステートプランニング)は一層必要性が増すこととなります。
酒井 ひとみ
シティユーワ法律事務所
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