妻を失った54歳夫、年金窓口で知らされた「まさかの一言」
会社員のAさん(仮名・54歳)は、13年前に趣味の野球観戦を通じて知り合った年上の女性と結婚しました。
「お互い再婚で、12歳年の差があるのが、他の夫婦とのちょっとした違い」……そう話すAさん。
とはいえ、妻は年齢差を感じさせないほど明るくて気さくな性格。Aさんは「姉さん女房」として彼女を頼りながら、2人で穏やかな日々を送っていたといいます。
妻は60代前半から特別支給の老齢厚生年金を受け取り。65歳以降は老齢基礎年金+通常の老齢厚生年金に切り替わり、受給額は月に約9万円。さらに週3回、近所のホームセンターでパートとして働き、月に9万円程度の収入がありました。
一方のAさんは電子部品工場で事務員として働き、月収は約21万円(賞与は年間50万円前後、業績による)。「実は数年前に一度体を壊しまして。残業のない部署に異動させてもらったんです」。Aさんにとって、精一杯の稼ぎだといいます。
2人合わせて月30万円以上の収入があり、暮らしに困ることなく、大好きな野球観戦にも出かけることができていました。
しかし、その日常は突然奪われます。ある朝、妻は出勤途中に倒れ、そのまま帰らぬ人となったのです。原因は急性心筋梗塞。朝の「行ってらっしゃい」の挨拶が、最後の会話となりました。
悲しみに包まれながらも、葬儀を終えたAさん。さまざまな手続きをする中で、「遺族年金の手続きもしなければ」と年金事務所を訪れました。ところが、窓口の担当者から伝えられたのは、思いもよらない言葉でした。
「Aさんは遺族年金の対象外ですね」
聞けば、理由は明確でした。Aさんには子どもがいないうえに、55歳未満の男性。つまり、遺族基礎年金にも、遺族厚生年金にも該当しなかったのです。
「まったくもらえないんですか? 妻は何十年も年金保険料を払ってきたと思うのですが……知らなかったです」
Aさんは自分の無知を詫びながらも、小さく「こんなの払い損じゃないか」と、つい呟いてしまったといいます。
「年金は『保険』のようなものだから、と言われればそれまでですけどね。もし妻と私の年齢が逆で、私が死んでいたら、妻は遺族厚生年金を受け取れていたんですよね。“男は働いてなんとかできるだろう”という前提、そうかもしれませんが、少し理不尽さは感じてしまいます。自分の給料だけでも暮らしていけますが、生活レベルは下がりますし、また体調が悪くなったら……と、先の不安は増えました。遺族年金が少しでもあれば、心の余裕が違ったんじゃないかな」
最後に、こう話しました。
「でも、不満を言っていても何かが変わるわけでもないから、家賃の安い家に引っ越して、頭を切り替えました。妻がいない生活は寂しいですが、前を向いて生きていくだけです」
参考:日本年金機構「遺族年金(受給要件・対象者・年金額」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/index.html
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