「画面の中の仲間」に癒しも…待っていた残酷な結末
そんなある日、スマホを触っていると目に留まったのが「シニア向け資産運用セミナー」というSNS広告。興味本位でクリックしてみると、「低リスク・高利回り」「安心のサポート体制」など、いかにも信頼できそうな文言が並んでいました。
「投資だったら、趣味と実益の両方を得られるじゃないか。一石二鳥だ」
そう思った松本さん。広告経由でLINEのグループトークに参加すると、「ようこそ!」「わからないことがあったら何でも聞いてくださいね」と、担当者が明るく迎え入れるメッセージが。
数十人が参加しているグループ内では投資情報だけでなく、日常のちょっとした雑談も交わされ、そのやりとりに参加していくうちに、松本さんはそこに居場所のような感覚を抱くようになりました。
そして、案内されたのが「元本の減ることのない新しい投資」。グループに参加していた人たちはすでに投資をしており、利益を得ているのだといいます。
「自分だけ怖がっていたら、チャンスを逃すと思いましたし、みんなが儲かっていると盛り上がっていた。まずは少額やってみようと思ってしまったんです」
最初に投資した30万円には20%ほどの利益がついて戻ってきました。それに安心し、その後も追加投資を繰り返した結果、最終的な投資額は800万円ほどになったといいます。
しかし、さすがに金額が大きくなり、「これ以上はやめておこうかな」と松本さんがトークでつぶやくと、グループの投稿がピタリと止まります。返信も来ず、数日後にはグループ自体が消え、アクセスできなくなりました。言うまでもなく、SNS型の投資詐欺だったのです。
「なんで、こんなのに引っかかるんだ。詐欺のニュースを見てそう感じたことがあったんですよ。でも、いざ自分がその立場になったら、疑うことができませんでした。老後資金を全部持っていかれなかっただけマシですが、『騙せる老人』だと思われたことが恥ずかしくて、惨めで。こんなこと息子には絶対言えません。墓場まで持っていきます」
「老後の孤独」が引き寄せるトラブルに注意
2024年版の「高齢社会白書」によれば、毎日会話する高齢者は72.5%。しかし、一人暮らしの高齢者に限ると、その割合は38.9%まで下がります。
孤独は必ずしも悪いことではありません。しかし、「孤独であること」と「孤立していること」は違います。自分の意思で選んだ孤独は心を休める時間にもなりますが、望んでいないのに誰からも連絡が来ず、相談もできないような状態は、心にも判断力にも少しずつ影を落とし始めます。
人と話さない日が続くと、誰かの優しい言葉が染み入るように響き、やがて、そこに「信用」が生まれてしまうのです。その結果、「あなただけに特別な情報を」といった謳い文句、寂しさを埋めてくれる日々のやりとりに、実際に会ったこともない画面の中だけの存在を信じてしまうのです。
老後を守るための備えは、資産や保険だけではなく、「会話と信頼のある関係」こそが何よりも有効なのかもしれません。
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