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医療の質を高める価値観「患者力」
同じように病気にかかった患者でも、その後の経過がまったく異なることがあります。
たとえば、命に関わる疾患を発症したにもかかわらず、偶然立ち寄った医院で適切な初期対応を受け、迅速に専門医療機関へ紹介されて一命を取り留めたことがある人。たまたま別の症状で受診した際に、偶然にも重大な疾患が見つかり、重症化を免れたことがある人。そして、そのような体験を何回も経験している人がいます。一方で、何回も医療ミスに遭遇してしまう人もいます。
こうした違いは、どこから生まれるのでしょうか。
一般的に、このような出来事は「たまたま運が良かった」と考えるのが自然でしょう。しかし、医療従事者の視点から注意深く観察してみると、このような幸運な体験をした患者にはある共通の傾向があることに気づきます。
ここでは、そうしたよい医療を引き寄せる力を「患者力」と名づけ、その実態と活かし方について考えていきます。
「患者力」は偶然を必然に変える力
患者力とは、医師の診療を妨げることなく、むしろ医師の判断力やひらめきを最大限に引き出すような関わり方ができる力のことです。この力は、医療に関する専門知識の有無や、持っている情報の量とは関係ありません。
患者力は、日々の小さな気遣いの積み重ねによって育まれます。たとえば、診察室で自分の症状を的確に伝えること。医師の質問に対して協力的に答えること。限られた診療時間の中で次の患者に対する配慮を含め、スムーズな診療を意識すること。こうした些細な心遣いが、結果として医療の質に大きな影響を与えるのです。
一見「偶然」に見えるよい医療との出会いも、実は患者自身の意識や行動が、その背景にあることは少なくありません。逆に、繰り返される医療トラブルの陰には、医師や医療機関側の問題だけでなく、患者側にも情報提供の不足や、不信感による対話の断絶などの問題が潜んでいる場合もあるのです。
医療の質は、医師の力量だけでは決まらない
医師がどれほど経験豊富で知識をもっていても、診断の出発点は患者から得られる情報にあります。どの様な症状なのか、いつから続いているのか、どのような状況で悪化するのかなど、的確な情報の把握が、診療を組み立てる土台となります。
患者が診察に必要な情報を適切に伝えられなかったり、話が散漫だったりすると、医師は重要な所見を見落としてしまう可能性があります。また、診察の途中で話題が突然変わったり、カルテ記載中に複数の質問を投げかけられたりすることで、医師の思考が切れてしまうこともあります。
診察に必要な情報を効率よく、的確に聞き出すことに長けた医師は確かに存在します。また、長年通い続けている患者との間に阿吽の呼吸が形成されて、質の高い診療が効率よくおこなわれている例もあります。
しかし、初対面の医師がその力を十分に引き出すためには患者の協力が不可欠です。医療は、医師と患者の協力によって初めて機能する共同作業です。
「話す力」よりも「伝える姿勢」
ここで述べる「患者力」は、上手に話す能力ではありません。医師が必要としている情報を、適切なタイミングで、簡潔に、正確に伝えようとする姿勢です。それによって、医師は的確な判断ができるようになり、誤解やすれ違いが生まれにくくなります。
また、患者は診療の場において「診てもらう側」であるという立場に固執せず、診断と治療の一部を担う意識を持つことが、よりよい医療の実現につながります。医療の現場で医師と患者は互いに向かい合うのではなく、ともに同じ方向に向かって協力し合う関係を築くことが大切です。
「名医にかかる」だけでは、よい医療は実現しない
「よい病院」「よい医師」を紹介する雑誌の特集や書籍は数多く出版されており、多くの人が「腕のいい医師に診てもらいたい」と願っています。実際、紹介状を持って遠方の病院を訪ねたり、評判の専門外来に長時間並んだりする人も少なくありません。
しかし、医師の診療能力は、患者からの情報提供や態度によって大きな影響を受けてしまいます。医師にとって話しやすく、質問がしやすく、必要な情報が整理されている患者に対しては、診断の精度が高まり、治療もスムーズに進みます。反対に、情報が錯綜し、うまく伝えることができ無い場合や対話に不信感が漂う場合には、どんなに名医と言われる医師であっても適切な判断が妨げられる可能性があります。
つまり、「よい医療」は医師の技量だけで成立するものではありません。「よい医師」と「よい患者」との共同作業によって、初めて実現されるものなのです。
宮澤 哲夫
みやざわ耳鼻咽喉科 院長
医師・薬剤師
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