年金月30万円・貯金5,000万円の70代夫婦「なにかの間違いでは」…愛する孫の〈超高額な学費〉を援助→税務調査で〈追徴課税800万円〉のワケ【税理士の助言】

年金月30万円・貯金5,000万円の70代夫婦「なにかの間違いでは」…愛する孫の〈超高額な学費〉を援助→税務調査で〈追徴課税800万円〉のワケ【税理士の助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

子や孫に行う「学費」の援助は、金額にかかわらず贈与税がかかりません。しかし、今回紹介する70代の夫婦は、孫に対して学費を援助した結果、孫が多額の追徴税を課されることとなってしまったのでした。いったいどうしてなのか、事例をもとに「教育費の贈与」の注意点についてみていきましょう。税理士でCFPの宮路幸人氏が解説します。

教育費に「課税されるケース」と「されないケース」の違い

親や祖父母から子や孫に対して教育費や生活費を贈った場合、「通常必要と認められるもの」については、贈与税の課税対象とはなりません。家族として当然の費用負担をしているだけだから、贈与税の対象となる贈与ではないという解釈です。

 

贈与税の対象とならない「教育費」とは、子や孫を教育するうえで通常必要と認められる学費、教材費、文具等を指します。通学のための交通費(定期券代など)や学級費、修学旅行参加費等も対象です。

 

また「生活費」とは、日常生活を営むのに必要な費用を指し、治療費や養育費等も含みます。ただし、たとえば数年分の教育費を一括で贈与された場合「すぐに教育費として充当されない部分の金額」は贈与税の対象となります。

 

学費の援助は「条件」に当てはまれば金額にかかわらず非課税

学費は、支払いが必要になったタイミングで都度援助を行えば、その金額にかかわらず贈与税はかかりません。大学の場合、1年の学費が数百万円となることもありますが、そのような場合でも、都度支払えば大丈夫です。

 

ただし、この「都度」という条件には注意が必要です。学校にすぐ納めない分まで渡してしまうと、通常の贈与とみなされ税金がかかってしまうこととなります。

 

また、贈与者が学費の名目で援助を行っても、受贈者が別の用途に使ってしまった場合、贈与税がかかる可能性が高くなります。

 

たとえば今回のように、仕送りを使わずにそのまま預金していた場合や、株式などの投資商品を購入しているケースなどが該当します。

 

Cさんへの贈与が認められなかったワケ

A夫婦からCさんへの送金は、学費を支払うタイミングなどではなく、半年ごとに500万円を4年間にわたって送金する方法で行われていました。そのため「都度」という条件にあてはまらず、課税の対象となりました。

 

また、Cさんは実際のところ、学費は親から出してもらっていたそうです。そのため祖父母からのお金は「将来必要になったときのために貯めておこう」と考え、必要最低限しか使わずにほぼ全額を貯金していたのでした。

 

したがって「教育費」には該当せず、年間1,000万円の贈与を4年間していたとみなされて贈与税を課税されることとなったのでした。

 

 

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