(※写真はイメージです/PIXTA)

オーストラリアの大都市シドニーからほど近い場所にある高級住宅地・モスマン地区。その一角に存在するマリーナは、早朝から大型のクルーザーやヨットが次々と出航し、また敷地内のレストランでは海を眺めながら朝食をとる地元住民たちの姿があるそうです。マリンレジャーが根付くオーストラリアで暮らすシニア富裕層たちの実態と、そこに存在する「投資妙味」について、Keyaki Capital株式会社代表取締役CEOの木村大樹氏が解説します。

マリーナに「投資する」という選択肢

画像提供:著者
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今回紹介したオーストラリアのマリーナについて、実はレジャー以外の側面があることはご存じでしょうか。現在、こうしたマリーナは「オルタナティブ資産」として世界中の富裕層・投資家に注目されています。

 

オーストラリアのマリーナを投資対象としてみた場合、最大の特徴は「構造そのものが味方する市場」である点です。

 

まず、オーストラリアは海岸線の開発に対して非常に厳格な環境規制が設けられており、新たにマリーナを建設するのは極めて難しい状況にあります。

 

さらに、政府からの許認可取得や自治体との調整も不可欠であり、実質的に新規参入のハードルは非常に高くなっています。こうした「参入障壁の高さ」こそが、オーストラリアに存在する既存マリーナの希少価値を支えているのです。

 

これに加えて、先述したようにオーストラリアではマリーナが人々の生活に深く根付いています。

 

その結果、主要都市近郊のマリーナは常に高い稼働率を維持しており、“空き待ち”が発生するのが当たり前という状況が続いています。

 

つまり、供給が少ない一方、需要は安定している……このような“非対称な構図”が、オーストラリアのマリーナの資産価格や利回りの安定性を支えているのです。

マリーナという資産が魅力的な理由

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さらに、マリーナ市場は外部環境からの独立性も高い資産です。たとえば、トランプ大統領の発言ひとつで株式市場が乱高下するような状況でも、マリーナの稼働率や収益構造は揺らぎにくいといえます。

 

なぜなら、主力の収入源である停泊料や陸上保管料は、多くが長期契約に基づく安定収入となっているからです。さらに、施設内のレストランや修理工房、燃料販売など多様なサービス収益が加わることで、収益源が分散され、より堅固な収益基盤が形成されています。

 

また、オーストラリアのマリーナ業界は大手資本による寡占化が進んでおらず、運営主体の多くは個人や小規模事業者です。つまり、事業者の統合や運営効率の向上によって、収益性を高める“未開拓の余地”が市場のなかに存在しているといえます。

 

細分化された市場が点在しているからこそ、統合によるスケールメリットが投資妙味を生み出すのです。

 

もちろん、為替リスクや自然災害リスク、運営管理上の問題など、注意すべき点もあります。しかし、それらを勘案してなお、マリーナという資産の持つ「構造的な強み」と「独立性」は他の投資対象では代替できない特徴でしょう。

 

いま世界の機関投資家や富裕層は、表面的なトレンドに乗るのではなく、こうした「構造そのものが味方する」資産に投資しています。これが、マリーナ投資がいま注目を集める理由なのです。

 

 

木村 大樹

Keyaki Capital株式会社

代表取締役CEO

 

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〈参照〉
・Population | Australia state of the environment 2021
(https://soe.dcceew.gov.au/coasts/pressures/population?utm_source=chatgpt.com)

・Firstlinks「Rising rates are transferring wealth to older people」(2023/9/23)
(www.firstlinks.com.au/rising-rates-transferring-wealth-older-people)

・Commbank IQ「Cost of Living Insights Report May 2024」
(https://www.commbank.com.au/content/dam/caas/newsroom/docs/commbank-iq-cost-of-living-report-may-24.pdf)

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