「親戚と顔を合わせるのが、年々しんどくなっていて…」
「“ああ、今年も来たな”って思いましたよ。あの言葉が」
そう語るのは、埼玉県在住の会社員・高井宏樹さん(仮名・43歳)。中堅メーカーに勤める正社員で、年収は約600万円。一人暮らしも経験済みですが、5年前に実家の親の介護が始まったのをきっかけに、再び同居生活を選択しました。
「母が要介護認定を受けて、父も腰を悪くして。とてもじゃないけど、両親二人での生活は無理だと思ったんです。介護離職はしたくなかったから、会社に掛け合ってリモート勤務の制度を活用しました」
当初は“親のため”だった同居生活も、今では家事や見守りのペースも安定。通勤は週1〜2回、その他は在宅勤務でまかなえています。
しかし、それでも正月の親戚の集まりは憂鬱だといいます。
「今年も言われました。甥っ子が“なんでまだ結婚しないの?”って。親戚のおばさんも、“あんたもそろそろ考えなきゃね”って。笑って流したけど正直、そろそろまた正月がくると思うと気が重いんです。親戚と顔を合わせるのが、年々しんどくなっていて…」
「自分は毎月の生活費も家に入れているし、親の通院や介護申請も全部自分がやっています。でも、結婚していない、実家に住んでいる――この二つだけで、“まだ子ども”みたいな扱いをされることが多いんです」
宏樹さんは、実家に戻った後も給与の一部を定期的に積立貯金へ回し、現在の貯蓄額は4,200万円に到達。投資などのリスク資産には手を出さず、あくまで「いざというとき、すぐに使えるお金」として備えてきました。
「これだけ貯めていても、世間的には“いつまでも親元で”なんて思われるんですよね。たとえ、家の固定資産税を払っていても、親の医療費を立て替えていても、それは“見えない努力”だから」
