のんびりした生活が一転、ハードモードな「孫中心」の老後に
中村一男さん(仮名・72歳)は、妻の佐伎子さんとの二人暮らし。65歳で長年勤めた会社を退職し、その後は学習塾の送迎。3年ほどしてそれも辞めてからは、ベランダで植木を育てたり散歩を楽しむ、のんびりとした日々を送っていました。
そんな穏やかな暮らしに、大きな変化が訪れたのは、娘の奈央さん(仮名)一家が徒歩5分ほどの距離に引っ越してきたときです。家を買うなら実家の側……娘は元々そう考えていたようです。
娘は小学生の男の子2人を抱えながら、多忙な夫と共働き。引っ越してくるやいなや、すぐに中村さん夫婦に頼るようになりました。
孫たちは学校が終わると真っ先に中村さんの家に来るようになり、おやつをあげたり、宿題の見守りをしたり。中村さん夫婦が見てくれる環境になったことで、娘はそれまで控えていた残業をするように。
夕飯の準備も習い事の送り迎えも、中村さん夫婦の仕事に。孫は中村さんの家に泊まることが当たり前になりました。
「おじいちゃん、遊ぼう!」と駆け寄る孫の笑顔は、確かに心を癒してくれます。ですが、70歳を超えた体に元気な孫の遊び相手は堪えます。
金銭的な負担も無視できません。夫婦の年金は月19万円ほど。貯金1,500万円ほどを切り崩しながら生活しています。決して余裕のある暮らしではないのに、孫のおやつ代や遊び代が家計を圧迫していきます。さらに、娘夫婦を加えた三世代の外食費用も負担することが増えていました。
ご近所さんからは「楽しそうで羨ましい」と言われました。確かに寂しい老後とは無縁です。しかし、もはや幸せとは感じられず、元の生活に戻れたら……そう考えるようになっていました。
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