ドライバー15人が一斉退職。現場は大混乱に
騒動を解決するために、管理者全員を集め話し合いました。しかし、会議室に入ると、自分の会社とは思えないほどの緊迫した空気が漂っていました。
その空気を作り出していたのは営業責任者で、彼は奥で不満げな表情で座っています。実は、彼は私を会議中に怒らせ、取り乱した様子を証拠として録音するつもりだったようです。
会議中には、得体のしれない部外者まで招き入れ「謝罪しろ」「お前たちはおかしい」「心を入れ替えろ」と無理難題を投げかけてきました。
この話し合いで気づいたことがあります。それは、彼らの標的が私だけではなく、創業から私を支えてくれたメンバーだったということです。彼らは、私や私の側近を集団で狙い撃ちにし、失脚させようとしていました。
私が感情的になり間違った判断をしてしまうと、信頼するメンバーに多大な被害が及ぶと感じた私は、なんとか冷静に話し合いで解決しようと努めました。
2時間に及ぶ会議は何も解決することなく、平行線のまま終わりました。しかし、その後、彼らの行動はさらにエスカレートしていったのです。
そして、2018年8月1日、ついに「Xデー」が訪れました。
営業責任者と反対勢力に属するドライバー15人が一斉に退職し、ほかの運送会社に集団移籍したのです。
この短期間で責任者2人、ドライバー15人が退職したことで現場は大混乱に陥りました。残ってくれた社員も、この状況が続けばさらに大量退職の可能性があると危機感を募らせていました。私は今後の作戦を必死に考えました。
トラブルの期間中、私は怒りをどうしようもなく感じ、誰もいない自分の部屋で壁を拳で叩くなどして衝動を抑えていました。
顧問弁護士からは「何があっても手を出してはいけませんよ」と繰り返し忠告されるほど、ギリギリの精神状態でした。人生を懸けて築き上げてきた会社をめちゃくちゃにされ、彼らの集団移籍に憤りと悔しさは募りましたが、なんとか自制できたのは、長らく支えてくれたメンバーと残ってくれた社員の存在があったからです。
このトラブルによる心労で体重は10kg落ちてしまいましたが、皮肉なことにこの騒動は会社を大きく生まれ変わらせる重要なきっかけとなりました。
