アルバイトから営業課長に上り詰めたA運輸での12年間で学んだこと
私の人生にとって、A運輸での12年間とは何だったのか。今の経営者としての自分にどんな財産や教訓を残してくれたのか。改めて振り返っておきたいと思います。
海上自衛隊で挫折を味わい、何も貢献できなかった自分が、「極限状態に身を置くことで自分は成長できるはず」と、次のチャレンジの場に選んだA運輸。荷物仕分けのアルバイトからキャリアをスタートさせ、契約社員、営業主任、係長、営業課長と順調に出世の階段を駆け上がり、最終的には目標だった店長まで上り詰めることができました。
この12年間で、自分が一人のビジネスパーソンとして大きく成長できたことはまぎれもない事実です。実力主義でのし上がっていくサバイバルな環境も期待していた以上に自分に合っていたし、その中で成果を出し、競争を勝ち抜いていく過程はゲームのように楽しくもありました。
成果をあげながら出世の階段を上っていくと、見える景色も変わってきます。その過程でGさんをはじめ、尊敬できるリーダーとの出会いもありました。それまでは100%自分に向いていた努力のベクトルを、「この人に認めてもらいたい」と初めて思えるようになったのも、Gさんとの出会いがあったからこそです。
最近では「ガチャ」という言葉もあるように、通常の人は成功の条件としていい出会いを求めがちです。しかし、実はいい人と出会うためには、まず自分が努力しなければいけないのです。A運輸の各営業所ではさまざまな困難や部下の謀反などもありましたが、諦めずに前に進み続けた結果、尊敬すべき人との出会いがあり、さらなる成長の機会を得ることができました。自分が努力し、いい人と出会い、新たなステージでさらに努力し、またいい人との出会いがある。この繰り返しによって人は成長できるということを、この12年間で身をもって学びました。
「一歩を踏み出す」ことの重要性を学んだのも、A運輸における財産の一つです。
X営業所、Y営業所、Z営業所と、私が渡り歩いたのはいずれも業績が停滞し、問題が多発していた営業所ばかりです。3つの組織に共通するのは、組織内の誰もが「このままではいけない」と問題やトラブルの所在を分かっていながら、一歩を踏み出せないことでした。
