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人生を変えた毛利衛さんの言葉
2度目のフライト後に訪れた行き詰まりの後、貴重なアドバイスをもらうようになった先輩たちの中に、キーパーソンと呼べる方がいます。
尊敬する宇宙飛行士、毛利衛さんです。スペースシャトルに搭乗した初めての日本人宇宙飛行士。私にとって、最初はテレビの中の人でした。私が宇宙飛行士に選ばれたときには試験官であり、直属の上司だった時期もあります。圧倒的な存在感と威厳を感じさせる方でした。
付き合い方が変わったのは、1996年にNASAへ派遣され、宇宙飛行士訓練コースの同期生になったとき。毛利さんは2回目のフライトを控えていて、当時48歳。私は31歳で、こわいもの知らずでした。
「毛利さん、もう一度頑張りましょ」みたいな感じで接し、一緒に体力訓練をした仲。尊敬すべき先輩でありながらも同期生という、非常にまれな関係にありました。同期生とはいっても、やはり毛利さんは常に私の1周先、2周先を行っている人なので、いろんなタイミングで相談をしていました。
そして、転職を考える上でも、貴重な存在でした。毛利さんは2度目の宇宙飛行を終えた後、1年も経たないうちにJAXAから転身し、日本科学未来館の館長に就任しました。
「野口君、宇宙だけ見ていると、世間が狭くなるよ」が毛利さんの口癖でした。宇宙事業を相手にしているだけでは、物の見方が狭くなってしまうというのです。実際、毛利さんは深海調査船に乗ったり、南極に行ったりと活動の幅をどんどん広げていきました。
民間の世界へ
私が毛利さんに転職の相談をしたのは、3度目のフライトに入る直前でした。
「このフライトが終わったら、次、どうしようかと考えているんです」
「だったら、野口君は社長になる方がいいよ」
毛利さんは私に、JAXAという肩書きで仕事をするような官僚的な社会の中にいるよりも、民間の世界に向いていると言いたかったのです。社長と言ったのは誇張でしょうが、自分のやりたいことを外に求め、そこでリーダーシップを発揮する方がいい、だからJAXAにこだわる必要はない、と。いや、毛利さんはもっとはっきりと言いました。
