そろそろ俺も本気出すか!75歳父は「サ高住」、実家は空き家、異母妹の連絡先も不明…43歳男性が相続対策に動き始めたワケ【相続の専門家が解説】

そろそろ俺も本気出すか!75歳父は「サ高住」、実家は空き家、異母妹の連絡先も不明…43歳男性が相続対策に動き始めたワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

空き家を放置していると、税金や管理の手間がかかるだけでなく、将来の相続時にトラブルの火種にもなりかねません。今回ご紹介するのは、高齢の父親がサービス付き高齢者住宅(サ高住)に転居し、実家が空き家になっているというご家庭のケースです。さらに家族関係が複雑で、相続人との連絡も困難な状況に。そんな中、長男が「今のうちに対策をしておきたい」と相談に訪れました。相続の専門家である相続実務士・曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実家を活用した相続・節税対策について詳しく解説します。

父親はサ高住に転居。実家は空き家に

大輔さん(43歳)から相談がありました。70代の父親は現在、サービス付き高齢者住宅(サ高住)に住んでいるため、2年前まで住んでいた自宅マンションが空き家になっているといいます。父親がマンションでひとり暮らしをしていたのは10年位で、その前に家族で住んでいた戸建て住宅も10年以上も空き家にしたままだそうです。

 
いよいよ対策しておきたい

父は70代半ばで、自らの意思でサービス付き高齢者向け住宅に転居しました。ひとり暮らしが大変になってきたからです。それまではずっと仕事中心の生活で、上場企業に勤め、定年後も再雇用で70歳まで働き続けていました。

 

社宅住まいから戸建てを買ったときもローンなしの現金で購入しています。次のマンションに住み替えたときも戸建てを売ることもなく、1人暮らしができる1LDKのマンションを4,500万円で購入したときも、ローンなしの現金で購入。さらにサ高住に住み替えたときも、2軒とも売らずに空き家のままにして、現在に至りますので、サ高住の費用も年金と預金から出せているのですが、まだこれから先が長いと思うと、いずれ足りなくなるのではという不安もあり、子どもの立場で対策をしてもらいたいということです。

家族関係が複雑

父親は75歳で、大輔さんの母親は大輔さんが小学生の頃に亡くなりました。大輔さんの下には弟(40歳)がいます。その後、父親は再婚し、妹(33歳)が生まれました。

 

しかし、家族で生活したのは5年ほどで、父親と後妻は離婚。妹は後妻が連れて出ましたので、その後は会ったこともなく、どこに住んでいるのかも知らないといいます。父親の相続人は異母妹も含めて3人です。

 

父が亡くなったとき、遺産分割協議を3人で行う必要があるとなれば、まずは異母妹の居場所を探すことから始めなければなりません。司法書士に依頼して戸籍をたどれば、現住所を確認するのはそれほど難しくありませんが、問題はその後です。戸籍上はきょうだいでも、異母妹にとっては、母親が離婚したときの感情や、その後一緒に暮らしてこなかったことを思えば、私たちに対して好意的な感情を持っていない可能性もあります。むしろ、父に対する恨みや、きょうだいに対する妬みといった複雑な感情を抱えていても不思議ではありません。

 

だからこそ、父親が亡くなったあと、円満な遺産分割協議をすることは困難だと想定されます。

遺言書は必須

それを避けるためには父親が公正証書遺言を作成しておくことが必須。そうすることによって財産の相続の仕方は父親の意思を生かせますし、父親の意思という説得材料のもと、公正証書遺言で相続手続きができるので、異母妹と話し合いをする必要がないため、悪感情を引き出すこともないのです。

 

しかし、遺言書があったとしても、懸念されるのは、“遺留分”の請求です。よって遺留分対策をしておくことも必要だとアドバイスしました。

建築が遺留分対策になるわけ

遺留分対策には、財産評価を小さくしておくことを考えます。空き家のままでは評価は100%ですが、賃貸住宅を建てると貸家建付地になり、土地は80%程度に下がります。

 

建物の評価は増えますが、固定資産税評価から貸家評価となり、結果、建築費の30%程度に下がります。

 

さらに建築費の借り入れを引くことができますので、財産評価がマイナスになる場合もあります。財産評価がマイナスの場合は、正味の財産がないとなり、遺留分請求をされたとしても払える財産がないため、遺留分を払う必要はないとなります。

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