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約16万人が相続税を申告
日本では、亡くなった人のうち約1割が相続税の課税対象になります。これはアメリカと比べると高い割合です。アメリカでは相続税の対象者は年間数千人程度。相続税の基礎控除額が約30億円と非常に高いためです。日本の基礎控除額は「3,000万円+法定相続人×600万円」が基本で、一般的な家庭でも家を所有していたり、生命保険に5,000万円以上加入していたりすれば、課税対象になり得ます。
その結果、2024年には、全国で約16万人の相続人が相続税を申告する事態となりました。もはや相続税は富裕層だけのものではありません。
税務署の人手不足で調査が困難
一方で、国税当局はこの大量の相続税申告に対応しきれていません。相続税の申告は原則として一度きりで、タイミングを逃せば税務調査の機会も失われます。法人税や所得税のように継続的な申告がないため、税務署が「これは怪しい」と感じた申告に対して即座に対応できる体制が求められますが、実際には人手不足で難しい状況です。
これまでの調査対象の選定は、ベテランの税務職員の「勘と経験」に頼っていました。しかし、申告件数が年々増えるなかで、すべてを把握するのは現実的ではありません。
AIによる相続税調査がスタート
こうした状況を受けて、国税庁は2025年7月から、全国の税務署で「AIによる相続税調査」を導入する方針を発表しました。
この仕組みでは、各税務署が提出を受けたすべての相続税申告書データを国税庁に集約。そのうえで、申告者および被相続人の過去の税務履歴や脱税歴、申告漏れなどと照らし合わせ、AIが「税務リスクスコア」を算出します。このスコアは0〜1の範囲で、0.01以下の細かさで評価されます。
このスコアに基づき、税務署は「調査を実施するかどうか」「実地調査にするか、電話での聞き取りにとどめるか」といった判断を行います。実際、現在でも調査が行われるのは相続税申告書全体のわずか5〜6%にすぎず、多くの申告者は調査を免れている状況です。