(※写真はイメージです/PIXTA)

B勘屋をご存じでしょうか。かつて、偽の領収書を使って企業の法人税対策に加担する業者の手口が問題となったことがあります。架空経費を計上して利益を圧縮する巧妙な仕組みは、税務リスクの現実を知るうえで注意すべき事例です。

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B勘屋とは何か

「B勘屋」とは、法人税を逃れる目的で架空経費を作り、その証拠として偽の領収書を発行・提供する業者のことを指します。領収書には発行元の社名や所在地、印章が記載され、一見すると本物のように見えます。税務調査に備え、こうした偽領収書が事前に用意されることもあります。

 

過去には、この手口で5億円規模の所得隠し事件が発覚し、関係者が法人税法違反(ほう助)で処罰されました。

 

「B勘屋」という呼称は、ブラックマネーの「B」と裏帳簿の「B勘定」を組み合わせたもので、税務現場では正式な帳簿を「A勘定」、二重帳簿などの裏帳簿を「B勘定」と呼んできたことに由来します。

架空経費と資金の流れ

A被告は利益を上げている企業に架空経費の計上を持ちかけ、自身が役員を務める会社名義で偽の領収書を発行していました。

 

企業が支払った金額はいったんA被告の会社に振り込まれ、A被告は手数料として10%を差し引いたあと、残りの90%を依頼企業に返金する仕組みです。こうして帳簿上は、正当な経費が計上されたように見せかけられていました。

巧妙化する手口

さらにA被告は、名刺を100種類以上、会社を100社以上保有し、発行する領収書の社名や本店所在地を数か月ごとに変更。各地を転々とし、担当税務署の所轄を変えるなど、発覚を避ける巧妙な手口を重ねていました。

税務調査とリスク

税務調査はこうした不自然な動きを見逃しません。初期は成功しても、長期的には必ず綻びが生じます。違法に得た手数料は押収の対象となり、実刑の可能性も高いとみられます。

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

 

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