(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍でテレワークが定着し、どこにいても仕事を請け負うことが可能になりました。一見便利になったものの、実は小規模な会計事務所にとっては逆風と言えます。上夷聡史氏の著書『M&A支援業務による会計事務所の成長戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋・再編集し、小規模の事務所と大規模事務所との競争の実態について詳しく解説します。

職人型会計事務所のままでの生き残りが厳しくなっていく理由

経営者として組織を拡大させ、規模の経済性を発揮して生産性を向上させる成長の道を選ぶのか、それとも職人としての業務に徹して、規模の拡大を追求しない道を選ぶのか、どちらの道を選ぶのかは所長の自由です。

 

しかし、中長期的に将来を見越せば、少人数の職人型会計事務所は競争が激しくなり、生き残りが難しくなっていくことは間違いありません。もちろん、今すぐ多くの会計事務所が廃業に追い込まれるといった話ではありません。

 

これまで20年事務所を続けてきて、現在も順調に回っている60歳前後の所長であれば、リタイアまで大きな問題もなく続けていくことは可能です。ただ、厳しくなっていく状況があるということは認識しておくべきでしょう。

 

また、現在40代などの若い世代の所長であれば、リタイアまではまだかなり長い年月があります。その場合にはより深刻な事態に見舞われる可能性が大いにありますので、いっそうの注意が必要です。

 

大規模事務所はマーケティング力で新規開業企業を獲得

その理由の1つ目は、大規模化、グループ化する会計事務所が増えれば、小規模の事務所は徐々にそのマーケットを奪われていくということです。設立数年以内の新規開業企業の顧問獲得においては、強いマーケティング力をもつ大規模事務所がどんどん有利になっています。

 

新規開業企業の社長は比較的若い世代であるため、ネットを駆使してあらゆる情報を探します。会計事務所選びにしても、以前なら金融機関や知り合いの経営者からの紹介で選定することが中心でしたが、現在ではネット検索で探すことが一般的です。すると、多額のマーケティング費用を掛けているネットマーケティングに強い大規模事務所が有利になります。

 

税務顧問契約は1度結べば大きな不満がない限りリプレースされることはないため、長い目で見れば新規企業の獲得に強い会計事務所が規模を拡大していくことは当然です。

 

 

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※本連載は、上夷聡史氏の著書『M&A支援業務による会計事務所の成長戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋・再編集したものです。

M&A支援業務による会計事務所の成長戦略

M&A支援業務による会計事務所の成長戦略

上夷 聡史

幻冬舎メディアコンサルティング

本書では、会計事務所がこれから描くべき成長戦略を示し、そのなかでM&A支援業務の有効性や取り組み方について事例を交えながら解説します。悩める会計事務所にとって、成長戦略を描くための羅針盤となる一冊です。

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