玉石混交状態のM&A仲介業界
後継者不在問題を背景として、M&Aは1種のブームとも呼べる状況になっています。M&A仲介会社の数も右肩上がりですが、その数の増加に伴って、業務品質の面で問題があるM&A仲介会社も残念ながら出てきてしまっています。
業務品質が低いといってもいろいろありますが、たとえば次のような会社が実際に存在し、M&Aそのもののイメージを下げてしまっている現実があります。
・提携仲介契約を受けながら、しっかりと案件化をせず、単に右から左へ情報を流すだけのブローカーに近い会社
・譲受け企業のリストが貧弱であるため、マッチング力に問題のある会社
・とにかく急いでM&A契約をまとめることだけを考えて、譲渡企業あるいは譲受け企業にとって、不満足な条件でもまとめようとする会社
・経験が不足しているため、契約プロセスに不備があったり、業界固有の事情を反映しない契約書を作成したりする会社
こういったM&A仲介会社と協業してしまうと、会計事務所のM&A業務がうまくいかないばかりか、関与先からの信用が毀損(きそん)されることにもつながりかねません。信頼できるM&A仲介会社を見極めるためには、いくつかのポイントがあります。
信頼できるM&A仲介会社のポイント1. 経験が豊富で、さまざまな業種のM&Aを扱っている
M&Aのプロセスでは、思いもよらない事態が生じて簡単に破談になってしまうことがよくあります。そのような事態を防ぐには、M&A仲介会社が先手を打って、起こり得る問題を想定し、あらかじめそのトラブルの芽を摘みとっておくことが大切です。
そういった予見力は、M&Aの教科書をいくら読んでも身につくものではなく、多くの実践の中でしか会得できません。また、譲受けを希望する企業とのネットワークの数も、やはり多くの仲介経験で時間を掛けて築かれます。
さらに、法規制、税制、商慣習などさまざまな面で、業界固有の事情が必ずあります。M&Aはあくまで会社を成長させるためのツールですから、M&A仲介会社がそうした事情にも通じていなければ良いM&Aはできません。
必ずしも経験の浅い会社がダメだというわけではありませんが、一般的な傾向として、多くの業種で豊富なM&Aマッチング経験を積んでいる会社のほうがより確実に、しかもより良いM&Aを成就させられる可能性は高いです。
これはホームページに「成約実績◯◯件」と書かれていても、実際にどこまでの部分を担当したのか分からないということもあるので、話をよく聞いて確認するほうがいいでしょう。
