収益性の高い大型事務所と、低い小規模個人事務所、二極化する会計業界
会計事務所経営を取り巻く状況として無視できないのが規模による格差の拡大です。
現在では100人を超える士業者を抱える大規模会計事務所や、グループ化して経営展開をする会計事務所グループが増加しています。そのような大型事務所、事務所グループは、ブランド力やマーケティング力、収益力など、さまざまな面で規模の優位性を発揮します。
減少していく中小企業の税務顧問市場において、大規模事務所のマーケットシェアが高まれば、結果的に中小規模事務所の経営を圧迫することとなります。
[図表1]は、税理士事務所年間売上高の推移です。これを見ると業界全体の売上高は2015年までは右肩上がりで伸びてきたものの、2016年以降は1兆6,500億円程度で横ばいになっていることがわかります。また、税理士事務所の数については、[図表2]が示すとおりになっています。
2012年には約3万1,000ヵ所あった税理士事務所が、2016年には約2万7,000ヵ所まで減少していることがわかります。この4年間で約4,000も事務所数が減少しているのです。
しかしこの間、全体の売上高は増加しています。そこから、大型化し収益性の高い事務所の増加が、全体の売上を押し上げているのではないかと推測ができます。
これらの参考として、昔は町のあちこちに個人経営の電器店が必ずありました。しかし、現在はほとんどが姿を消しています。テレビなどの家電製品の購入場所は、駅前あるいはロードサイドの大手家電ショップチェーン、さらには大手ECショップに取って代わられたためです。一方、電池や電球などの購入場所は、コンビニエンスストアや100円ショップに奪われました。
これからますます大規模会計事務所や会計事務所グループが増えていったとき、小規模会計事務所が画一的な経理業務、決算書作成業務しかしていなければ、個人経営の電器店と同じような状況になっていくことは間違いありません。
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