(※画像はイメージです/PIXTA)

株式投資では「S&P500」、「オール・カントリー型(全世界株式)」のどちらを選ぶべきでしょうか。本記事では、アメリカ在住のプロ投資家・中島聡氏の結論と割安株を見分ける指針となるPBR(株価純資産倍率)について、中島氏の著書『メタトレンド投資 10倍株・100倍株の見つけ方』(徳間書店)から一部抜粋・再編集して、詳しく解説します。

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株式投資はアメリカ一国に絞るか?全世界に賭けるか?

よく議論になるのが、「S&P500」と「オール・カントリー型(全世界株式)」のどちらを選ぶべきかという二者択一の問題です。これは突き詰めれば、「アメリカ一国の経済成長に賭けるのか」、それとも「全世界の経済成長に賭けるのか」の選択と言えるでしょう。S&P500は、アメリカを代表する大型株500銘柄で構成される株価指数です。

 

ここ数十年の世界経済を振り返ってみると、ITをはじめとするテクノロジー企業を中心に、アメリカが常に世界経済の成長を牽けん引いんしてきました。GAFAM(Google、Apple、Facebook※現Meta、Amazon、Microsoft)を筆頭に、アメリカには世界を変える力を持った革新的な企業がひしめいています。その勢いはGAFAMだけにとどまりません。TeslaやNVIDIA、世界的な製薬会社であるEli Lilly(イーライリリー)、そしていまだ上場は果たしていないものの、宇宙開発で世界をリードするSpaceXなど、各分野で世界を席巻するそうそうたる企業が揃っています。

 

さらに、アメリカはイノベーションを促進し、企業の成長を後押しする理想的な土壌にも恵まれています。積極的な移民政策による継続的な人口増加や、規制緩和、資金調達のしやすさなどが後押しするからです。「今後もアメリカが世界経済の中心であり、最も力強く成長し続ける」と信じるなら、ここはシンプルにS&P500に連動するインデックスファンドを選べば良いでしょう。

 

一方、オール・カントリー型は、先進国から新興国まで全世界の幅広い地域の株式市場に分散投資するアプローチです。約6割程度の割合をアメリカ株が占めますが、アメリカほど成長は期待できない国や地域も含まれます。

 

アメリカ市場だけに投資する場合と比べれば、爆発的なリターンは得にくいかもしれません。しかし、国ごとの景気変動や地政学リスクなどを平均化しながら、世界経済全体の成長の恩恵をまるごと受け取ることはできます。

 

過去を振り返れば、先進国が力強く成長する時期もあれば、新興国が急成長を遂げる時期もありました。

 

「アメリカ一強の時代が終わると思う」「将来的にどの国や地域が成長するか、予測が難しい」と考えるなら、全世界株式に投資するオール・カントリー型を選ぶのが無難な選択と言えるでしょう。

 

私はアメリカに生活の拠点を置いていることもあり、基本的にはアメリカ経済の成長に賭けたい気持ちが強くあります。そして、401K(アメリカの企業型確定拠出年金制度)でS&P500のパフォーマンスに連動する投資成果を目指す「バンガード S&P500 ETF」も運用しています。よって「S&P500か、オール・カントリーか」と問われれば、私の答えはS&P500です。

割安株の指針となるPBR(株価純資産倍率)

日本企業の中には、潤沢な資産を持ちながらも、それを有効活用できていない企業が数多く存在します。典型的な例が、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込んでいる企業です。

 

PBRとは、「株価が1株あたり、純資産の何倍になっているか」を示す指標です。このPBRが1倍を割ると、理論上「企業を解散し、保有資産をすべて現金化して分配したほうが株主にとって得である」ということになります。

 

アメリカであれば、PBRが1倍を割る企業は敵対的買収の格好の標的になります。そして、買収後には事業の切り売りや、資産売却などが行われ、企業価値の向上、つまり株価の上昇が図られます。

 

 

中島 聡

エンジニア・起業家・投資家

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※本連載は、中島聡氏による著書『メタトレンド投資 10倍株・100倍株の見つけ方』(徳間書店)より一部を抜粋・再編集したものです。

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