都道府県医療計画制度による病床規制が始まる
1980年代に入って老人医療費がもう一度見直されたように、医療提供体制についても見直しの気運が高まりました。
ここで注目されたのが病院の病床数です。戦後まもなくの頃は、一定の医療水準を保つため、できるだけ多くの病床が必要でした。そこで国は1948年に医療法を制定し、病院数と病床数の拡大を図りました。
その後、民間病院も順調に数を伸ばし、国民皆保険制度の確立や老人医療費の無料化などで高まった医療需要にも対応していきました。とはいえ、地域によって医療施設が偏在している問題は解消しておらず、急性期病床か療養病床かといった医療施設の機能分担についても明確化されていませんでした。
そこで1985年の医療法改正(第一次改正)により、都道府県医療計画制度が導入されることになります。医療計画とは「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図るため」に、都道府県が地域の実情に応じて公私の医療施設を整備するための計画のことです。
具体的には、すでに行われている公立病院の病床規制に加え、民間病院に対しても一定の地域内で必要な病床数を設定し、それを上回る病床過剰が起きた場合には、都道府県医療審議会の意見を聞いたうえで、病院の開設や病床数の増床について、都道府県知事が勧告を行うことができるようになりました。
つまり民間病院においても、都道府県知事による病床規制が始まったわけです。これにより、わが国の医療の原則である自由開業制は維持されながらも、病院病床数の伸びに歯止めがかかることになりました。
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