医師の働き方改革のしわ寄せが患者へ
医師の働き方改革の推進により、地域の病院に派遣されていた医師が大学病院に呼び戻されてしまうと、地域の病院はいきなり機能不全に陥ります。そしてその結果、大きな不利益を被るのが地域の住民です。
自分の受診していた診療科が閉鎖された場合、それまで通い慣れた近くの病院では受診できなくなり、場合によっては他府県の病院にまで通院しなければならなくなります。これは高齢の患者にとって大きな負担になります。また、その地域で救命救急が迅速に行えなくなれば、地域住民の生命まで脅かされることになります。
医師の働き方改革によって引き起こされる弊害は地方にとどまりません。たとえ都市部の病院であっても、診察や手術を受けるまでの待機時間の長期化が発生しています。
例えば、普段は週3回の手術を行っていた外科医が、労働時間短縮の影響で週2回しか手術できなくなれば、手術を受けたくても受けられない患者が毎週1人ずつ増えていきます。そうした患者が累積していけば、それまで受診後1カ月以内に受けられた心臓病やがんの手術も、2カ月待ち、3カ月待ちを余儀なくされ、その間に病状が悪化することも考えられます。
高齢化が進むわが国では、患者の総数は今後さらに増え続けると予想されることから、待機時間の長期化はより深刻になっていくはずです。医師の働き方改革で医師が地域の病院から大学病院に引き上げた結果、患者は通い慣れた医療機関で受診できないケースが増え、救急病院の一部では夜間救急の受け入れを休止し、予定していた手術の待機時間が長くなる……。
医師の働き方改革は、都市部も地方も関係なく、「患者にとって適切な医療サービスが受けにくくなる改革」にもなっているのです。
原口 兼明
医療法人 原口耳鼻咽喉科 院長
医学博士
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