関税政策が経済に影を落としている様子が浮き彫りに
米S&Pグローバルが公表した4月の総合PMIは51.2(3月:53.5)と市場予想(52.0)を下回り、2023年12月以来の低水準となりました(図表1)。
4月は企業活動の縮小圏入り(50割れ)こそ回避したものの、活動ペースの鈍化を示唆しています。
トランプ政権の政策運営や年末商戦への期待感から、2024年終盤にかけて企業の景況感は改善傾向にあったものの、2025年に入り関税政策を巡る不確実性が企業マインドの重石となっています。
総合PMIのうち、製造業PMIは1月に51.2、2月に52.7と高水準が続いた後、3月に50.2へ大きく低下し、4月には50.7と小幅に反発しました。1月と2月は関税賦課を前に生産前倒しなどの一時的な要因によって押し上げられていた可能性があります。
3月以降は企業活動の拡大・縮小の分かれ目である50割れを回避したものの、低空飛行が続いています。
サービス業PMIについては3月の54.4から4月に51.4へ大幅に低下し、企業活動の失速が鮮明となりました。FRBが公表したベージュブック(地区連銀経済報告)においても、トランプ政権の関税政策が経済全般に影を落としている様子が浮き彫りとなりました。
ベージュブックでは「経済活動は前回(3月)報告から殆ど変わっていないものの、関税政策を巡る不確実性が報告書全体で言及された」と総括され、経済活動の減速を報告した地区の数は前回の2地区から4地区に増加しました。
報告書によると、インフレは「穏やか、あるいは緩やか」と指摘されたものの、企業は関税引き上げにより投入コストの伸びが高止まりすると予想していることが報告されました。
労働市場については、前回から「やや悪化」していると報告され、雇用者数の減少を報告した地区が増加しました。この点については、政府効率化省(以下、DOGE)が主導する雇用削減の影響が、今後数か月の雇用統計で明らかになる可能性があります。
経済活動については、複数の地区が「関税関連の値上げをにらんだ駆け込み購入」によって押し上げられたと報告しており、消費活動が向こう数か月で減速する可能性が示唆されました。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…4月第4週の「米国経済」の動き』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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