「トランプ関税」の影響で、消費者マインドの悪化鮮明
民間調査機関のコンファレンス・ボードが公表した2025年4月の消費者信頼感指数は86.0と3月(93.9)、市場予想(88.0)をともに下回り、2020年5月以来の低水準となりました(図表1)。
内訳をみると、現況指数は3月の134.4から4月に133.5へ、期待指数は66.9から54.4へ揃って低下しました。特に、期待指数は2011年8月以来の低水準であり、公表元によると、トランプ政権による関税政策の影響が懸念される下で、経済の先行きに対して消費者が一段と悲観的となっている模様です。
これに先立って公表されたミシガン大学調査でも、消費者マインドの悪化が鮮明となり、トランプ政権による関税政策が消費行動に悪影響を及ぼしかねない状況にあると考えられます。
同時に公表された1年先の期待インフレ率は7.0%(3月:6.0%)へ一段と上昇し、米国が高インフレに見舞われた2022年11月(同時点のコアCPIは前年比+6.0%)以来の高水準となりました(図表2)。
11日に公表済みのミシガン大学調査では短期(1年先)のみならず、中長期(5~10年先)でも大きく上昇しました。インフレ再燃を回避するためには、消費者の中長期のインフレ期待が安定的に維持されていることが重要です。
もっとも、ミシガン大学調査におけるインフレ期待は高めに出やすい傾向があるため、FRBが重要視するNY連銀の調査結果(5/8公表予定)において、3年、5年の期待インフレ率が安定的に維持されているかが焦点となります。
米経済は2022年1~3月期以来のマイナス成長に
米商務省が公表した2025年1~3月期の実質GDP成長率は前期比年率▲0.3%(2024年10~12月期:同+2.4%)と、市場予想の同▲0.2%を下回りました(図表3)。米経済がマイナス成長に陥るのは2022年1~3月期以来となります。
今回のマイナス成長は外需(輸出-輸入)が成長率を下押ししたことによるもので、トランプ政権の関税賦課を前に駆け込みの輸入が大幅に増加したことが影響しました。
外需のうち、輸入は前期比年率+41.3%の急増と、輸出の伸び(前期比年率+1.8%)を大きく上回ったため、外需寄与度が前期比年率▲4.8%と成長率の下押し要因となりました。
輸入の急増に対応する格好で、在庫投資寄与度は前期比年率+2.3%と成長率の押し上げに寄与しました。関税賦課前の駆け込み需要を反映して民間最終需要も前期比年率+3.0%と2024年10~12月期(同+2.9%)からわずかに増勢が加速しました。
このうち、個人消費は1月に前月比▲0.4%、2月に同+0.1%と低調だったものの、関税賦課前の駆け込みにより3月は同+0.7%と急増したことで、1~3月期は前期比年率+1.8%まで持ち直しました。1~3月期の個人消費は高い伸びとなった10~12月期(前期比年率+4.0%)から減速したものの、底堅さを維持していると判断されます。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…4月最終週の「米国経済」の動き』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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