(※写真はイメージです/PIXTA)

政府が提唱する「自助努力」に応え、年金だけでは生活できないといわれるセカンドライフに向け、コツコツと積み上げてきた老後資金。しかし、いざその貯めた額を目の当たりにすると、新たな不安や悩みが込み上げてきて……。本記事では岸田博之さん(仮名/70歳)の事例とともに本当に必要な貯蓄額について、FP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

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裏切りの結果、「人間不信」へ

「信じていたのに……。あの人に勧められたから買ったのに……」怒りよりも先に来たのは、深い喪失感と不信感でした。この一件以降、岸田さんはあらゆる金融機関や担当者に対して警戒心を抱くようになります。不動産営業マンから営業を受ける物件も、保険営業マンから提案された「相続に有利な保険」も、すべて信用できなくなってしまいました。

 

そして、資産が増えた岸田さんにとっては相続税も不安でした。「子供に迷惑を掛けないよう始めた資産形成だったのに、このままでは相続のときの負担を負わせてしまう……」誰も信用できなくなった岸田さんは、毎日パソコンにかじりついて情報を集めたり、節税対策の書籍を読み漁ったりしていました。しかし、情報が多過ぎてなにが正解なのかわからず、途方に暮れます。

 

FPからのアドバイス

そんな折、知人から「相続に強いFPがいる」と紹介され、商品営業ではない立場からアドバイスを受けられるというのでようやく警戒心が解け、相談の場にたどり着きました。

 

FPにすべてを開示した結果、「この規模の資産ですと、確かに相続税は発生しますが、法定相続分どおり相続していただければそんなに心配しなくていいと思います。納税資金も十分ありますから、もっと使ってもいいのではないですか?」と告げられます。

 

今後のライフプランを見える化し、必要になる生活費を計算。岸田さんが望む生活を送るためにいくら資産を残しておけばよいかを試算しました。介護資金を確保しながら生命保険を利用した相続税の圧縮も行いました。孫の教育資金を出してあげること、生命保険を使った相続対策などの提案を受け、子供たちの家族との旅行を楽しむために使うことになりました。

 

博之さんはポツリといいます「この調子では使い切れません。老後にこんなに余裕がでるんだったら、現役時代に旅行に行ったり舞台を観にいったり、もっといろいろなことをして家族の思い出を作ればよかった」。

 

「うちは家族写真が少ないんですよ」と美佐子さん。

 

岸田さんのように資産を持ちすぎることで発生する不安や悩みもあります。本来であれば相続税の心配などしなくてもいい状況で、相続税対策として不動産を活用した税圧縮の提案などを受け、余計に混乱するケースも。

 

しかし、現状でもし相続が発生した場合にどの程度の税金が掛かるのかを計算してみると、さほど大きな金額にならないことも多いものです。現状を正しく知り、自分たちの目的に合った手段を考えていくことが重要でしょう。それがわからないままやみくもに資産運用や相続対策を始めてしまっても誤った手段を選んでしまうこともあります。目的に合わない金融商品を選んでしまったり、不要な相続税対策で資産を失ってしまったりすることにつながりかねません。まずは現状を把握することから始めてみましょう。

 

 

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